販売促進は、企業の成長において欠かせない重要な要素です。そのためには、明確な方針のもとで効果的な戦略を立案し、実行に移すことが求められます。「販売に関する方針」は、企業の販売活動を「販売網」「広告宣伝」「訪問」の三要素に分け、それぞれについて具体的な方向性を示す指針です。本方針を策定することで、効率的かつ成果の出る販売促進活動が可能になります。
1. 販売網:市場の拡大と整理
販売網の整備は、収益性を高めるうえでの基盤となります。新たな市場の開拓や既存の販売地域の見直しを通じて、持続的な成長を目指します。
- 新規進出地域の特定
成長可能性のある地域を見極め、進出計画を策定します。 - 撤退地域の決定
採算性や将来性が乏しい地域からの撤退を計画的に実行します。 - 重点地域の設定と活動内容
戦略的に重要な地域を定め、販売促進やイベントなどの活動を展開します。 - 地域別占有率目標と販売網整備
各地域ごとに市場シェアの目標を設定し、販売網を効率よく整備します。
2. 広告宣伝:効果的なプロモーションの実現
広告宣伝活動は、企業や商品を市場に認知させ、販売を促進する重要な手段です。多様なチャネルを組み合わせ、効率的に活用します。
- メディア活用方針
テレビ、新聞、業界紙など、適切な媒体を選定し、その活用方法を明確化します。 - 販促ツールの活用
カタログやチラシなどの販促資料を作成し、効果的に活用します。 - ダイレクト・メールの計画
顧客ターゲットを明確にし、送付内容や頻度を具体化します。 - 展示会・イベントの計画
出展や主催するイベントの目的やスケジュールを設定します。 - キャラバン活動
特定の商品や地域に焦点を当てたプロモーションを実施します。 - 特売計画
特売期間や割引率を計画し、販売促進のタイミングを最大化します。
3. 訪問:顧客との信頼関係構築
直接の訪問活動は、顧客との関係を強化し、商品理解を深める重要な役割を果たします。
- 得意先ランク別訪問基準
得意先のランクに応じて訪問頻度や内容を定めます。 - 定期訪問の必要性と基準
定期的な訪問を通じて関係を維持し、課題を早期に解決します。 - 売場フォロー
販売現場の支援を行い、売上向上に貢献します。 - アフターサービス
販売後のフォローアップを徹底し、顧客満足度を向上させます。
販売促進を成功させるためのリーダーシップ
販売促進の成否を分けるのは、現場での個々のセールス活動だけではありません。重要なのは、企業トップによる明確なビジョンとリーダーシップです。単に「優秀なセールスパーソン」に依存するのではなく、普通の能力と誠実さを持つ人材が成果を出せる環境を整備することが成功の鍵です。
社長自らが市場の現場に足を運び、顧客や取引先との直接対話を通じて、販売促進のヒントを掴むことが求められます。この実践的なアプローチこそが、効果的な販売方針を見出す最良の方法です。
「販売に関する方針」は、販売活動の全体像を示すとともに、現場での具体的な行動指針として機能します。本方針をもとに、さらなる販売戦略を検討し、実践的な取り組みを進めていきましょう。
三番目の「販売促進に関する方針」は、「販売網」「広告宣伝」「訪問」の三つの要素に分けて考える。
販売網
- 新規進出地域の特定
どの地域に新たに進出するのかを明確にする。 - 撤退地域の決定
採算性や成長性が見込めない地域からの撤退計画を策定する。 - 重点地域の設定と活動内容
重点を置く地域を定め、その地域で展開すべき活動(販売促進、イベントなど)を具体化する。 - 地域別占有率目標と販売網整備
各地域における市場占有率の目標を設定し、それを達成するための販売網の整備計画を立てる。
広告宣伝
- メディア活用方針
テレビ、ラジオ、新聞、業界紙、雑誌など、どのメディアをどのように利用するのか、あるいは利用しないのかを明確にする。 - 販促ツールの活用
営業案内、カタログ、ポスター、チラシなどをどう作成し、活用するかを検討する。 - ダイレクト・メールの計画
送付対象や内容、送付頻度を具体化する。 - 展示会・イベントの計画
見本市への出品や展示会の開催などのスケジュールや目的を設定する。 - キャラバン活動
地域や商品を特定して行うプロモーションの詳細を策定する。 - 特売計画
特売を行う時期、対象商品、割引率などを計画する。
訪問
- 得意先ランク別訪問基準
得意先のランクごとに訪問頻度や内容を定める。 - 定期訪問の必要性と基準
定期的な訪問が必要な場合、そのスケジュールや目的を明確にする。 - 売場フォロー
販売現場の支援やフォローアップの計画を設定する。 - アフターサービス
販売後のフォローアップやサービス体制をどう整備するかを具体化する。
これらの要素を整理し、具体的かつ実行可能な形で方針書に反映させることで、販売促進活動の効果を最大化できる。
販売促進の成果は、セールス・マン個々の活動だけで決まるものではない。それを大きく左右するのは、トップが掲げる明確な方針である。しかしながら、多くの社長は、販売促進の成果がセールス・マンの能力や意欲に依存すると誤解している。この考え方では、トップが果たすべきリーダーシップの重要性を見落としてしまうことになる。
その結果、多くの社長が「優秀なセールス・マン」を求めたがる。しかし、実際には、優秀なセールス・マンなど存在しない。もしそのような人がいたならば、自身で独立して事業を始めるか、コミッション・セールスとして働く道を選んでいるはずだ。したがって、優秀なセールス・マンを期待すること自体が間違いである。セールス・マンに求めるべきは、普通の能力と真面目に業務に取り組む姿勢だけで十分である。
社長自らが「我社の商品をどうやって売るか」を真剣に考えなければならない。それこそが、販売促進の唯一の道であると心得るべきだ。その道を見つけ出す方法はただ一つ、社長自身が外に出ることである。市場の現場に身を置き、顧客や取引先と直接触れ合うことで、自然に販売促進のヒントが得られる。
この点についての詳細は、「経営戦略篇」を参照していただきたい。さらに深掘りした内容については、このシリーズの「販売戦略篇」で改めて詳しく述べる予定である。
コメント