販売計画とは
利益計画で示された必要利益を達成するために、「何を」「どれだけ」「どこで」「誰が」売るのかを具体的に計画するのが販売計画である。
この販売計画こそ、経営計画の「中核」を成すものであり、方針書で明示された事項を目標として設定し、それを具体的な数字に落とし込みながら販売活動を展開していく指針となる。
販売計画は、事業の成否を左右する重要な計画である。
2. 中心をなす「商品別販売計画」
販売計画の中核を担うのが「商品別販売計画」です。これは、社長が描く事業ビジョンを具体化し、商品構成と売上目標を精緻に設計する重要なパートです。
しかし、理想とする商品構成や売上計画と、実際の市場や顧客ニーズとの間には大きなギャップが存在します。このギャップを埋めることこそ、販売計画の根幹であり、最大の課題です。
3. 粗利益と占有率のバランスを取る
商品別販売計画では、次の二つの視点を両立させる必要があります:
- 市場での占有率を高めるための売上目標
- 必要な粗利益を確保するための売上構成
とくに「最重点商品」や「重点商品」の売上高は、事業の軸となるため、明確に数値目標を設定しなければなりません。
しかしながら、現実はこの売上目標を達成すること自体が非常に難しく、結果的には「占有率を上回る売上高」が必要になるケースがほとんどです。
計画立案において、厳しい現実を直視し、理想との乖離を埋める具体策を練ることが求められます。
4. 社長が抱える販売計画の重圧と孤独
このように困難を極める販売計画の策定は、社長にとって大きな精神的負担を伴います。ノイローゼや不眠に悩まされるほどのプレッシャーを感じることも珍しくありません。
そして、この苦悩は社内の誰にも本当の意味では理解されません。
社長の苦しみは、誰かに理解されるべきものではなく、自らが背負うべき「責任の重み」そのものです。
5. 苦悩の打開策は「現場」にある
販売計画の悩みを突破する糸口は、お客様との直接対話にあります。社長自身が現場に出向き、顧客と向き合い、声を聞き、課題を体感することで、解決のヒントが得られます。
現場のリアルを知らずして、実行力ある計画は立てられません。
この姿勢こそが、販売計画を「経営の中核」に据えるために必要な条件です。
6. 商品別販売計画の欠如が招くリスク
ところが実際には、多くの企業がこの商品別販売計画を立てずに、利益計画だけで経営を進めようとする傾向があります。
その結果、
- 目標の難易度が把握できず、甘い見通しに陥る
- 数字合わせの経営に偏り、現実とのギャップに苦しむ
- 計画が抽象的で、現場で実行に移せない
といった問題が頻発します。
商品別販売計画がなければ、現場にまで戦略を落とし込む道筋が見えず、計画と実態が乖離したまま経営が空転してしまうのです。
まとめ:販売計画は「経営の現場」そのものである
- 販売計画は、利益計画を実現するための「実行計画」である。
- 社長の意思と市場の現実を結びつける「商品別販売計画」がその中心にある。
- 苦しみながらも社長自身が現場に出て、顧客と対話することでしか、実効性のある計画は生まれない。
- 利益計画だけでは数字の達成可能性が見えず、経営の舵取りが困難になる。
販売計画とは、数字ではなく「経営者の意志」を形にしたものです。
その計画が実行力を持ち、現場で生きるものとなるかどうかは、社長自身の覚悟と行動にかかっています。
コメント