固定資産を売却した際には、売却時の帳簿価額と売却価額との差額を処理します。帳簿価額は次の式で計算されます:
[
\text{帳簿価額} = \text{取得原価} – \text{減価償却累計額}
]
売却価額と帳簿価額の差額に基づいて、固定資産売却損(費用)または固定資産売却益(収益)を計上します。
1. 固定資産売却の処理
(1) 売却価額 < 帳簿価額の場合(損失発生)
売却価額が帳簿価額を下回る場合、損失を固定資産売却損(費用)で処理します。
例: 帳簿価額50,000円の機械を40,000円で現金売却した場合。
現金 40,000円 / 機械 50,000円
固定資産売却損 10,000円
(2) 売却価額 > 帳簿価額の場合(利益発生)
売却価額が帳簿価額を上回る場合、利益を固定資産売却益(収益)で処理します。
例: 帳簿価額50,000円の機械を60,000円で現金売却した場合。
現金 60,000円 / 機械 50,000円
固定資産売却益 10,000円
2. 固定資産を期中に売却した場合
固定資産を期中に売却した場合には、売却時点までの減価償却費を月割りで計上し、帳簿価額を更新してから売却処理を行います。
計算手順
- 期首から売却時までの減価償却費を計算(月割り計算)。
- 帳簿価額を更新:
[
\text{帳簿価額} = \text{取得原価} – (\text{累計減価償却額} + \text{月割減価償却費})
] - 売却時の仕訳を記録。
例: 固定資産の期中売却
- 取得原価: 120,000円
- 減価償却累計額(期首時点): 60,000円
- 耐用年数: 10年(年間減価償却費 = ( \frac{120,000}{10} = 12,000円 ))
- 売却時点: 6か月経過
- 売却価額: 55,000円
1. 月割減価償却費
[
12,000円 \times \frac{6}{12} = 6,000円
]
2. 帳簿価額
[
120,000円 – (60,000円 + 6,000円) = 54,000円
]
3. 仕訳(売却時)
- 売却価額 55,000円(現金で受け取る)
[
現金 55,000円 / 建物 120,000円
減価償却累計額 66,000円
固定資産売却益 1,000円
]
3. 固定資産を期末に売却した場合
固定資産を期末に売却する場合は、1年分の減価償却費を計上してから売却処理を行います。
例: 固定資産の期末売却
- 取得原価: 100,000円
- 減価償却累計額(期首時点): 80,000円
- 耐用年数: 10年
- 売却価額: 25,000円
1. 年間減価償却費
[
\frac{100,000円}{10} = 10,000円
]
2. 帳簿価額
[
100,000円 – (80,000円 + 10,000円) = 10,000円
]
3. 仕訳(売却時)
- 売却価額 25,000円(現金で受け取る)
[
現金 25,000円 / 建物 100,000円
減価償却累計額 90,000円
固定資産売却益 15,000円
]
4. 固定資産売却のポイントまとめ
項目 | 処理内容 |
---|---|
売却価額 < 帳簿価額 | 差額を固定資産売却損(費用)で処理 |
売却価額 > 帳簿価額 | 差額を固定資産売却益(収益)で処理 |
期中売却 | 月割りで減価償却費を計上し、帳簿価額を更新してから売却仕訳を行う |
期末売却 | 年間の減価償却費を計上後、帳簿価額を更新して売却仕訳を行う |
固定資産の売却は、帳簿価額の正確な計算と適切な仕訳処理が重要です。
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