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■引用原文(日本語訳)
「アルジュナよ、一切の母胎において諸々の形態が生まれるが、大ブラフマンがそれらの胎である。私は種子を与える父である。」
(第14章 第4節)
■逐語訳
アルジュナよ、あらゆる存在は多様な母胎から生まれるが、その母胎は偉大なるブラフマン(プラクリティ)である。私はそこに命の“種子”を与える父なのだ。
■用語解説
- 一切の母胎(sarva-yoniṣu):あらゆる生物の出生源、種族・種類を問わない命の始まりの場。
- 形態(mūrtayaḥ):具体的な姿や形を持った存在(人間、動物、自然など)。
- 大ブラフマン(mahad brahma):物質世界の根本原理であり、命が宿る母体。
- 種子を与える父(bīja-pradaḥ pitā):創造の原動力・意志を注ぎ込む神(クリシュナ)自身。
■全体の現代語訳(まとめ)
クリシュナは、すべての生命ある存在は「大いなる自然(プラクリティ)」という母胎から生まれ、それに「神の意志=種子」が注がれて創造されると説く。神はすべての命の“父”であり、自然はその“母”である。
■解釈と現代的意義
この節は、「命あるものはすべて神の意思によって生まれた」という壮大な創造観を示しています。それは、いかなる存在も“偶然”に生まれたのではなく、「神の種」と「自然の受容」による尊い結果であるということです。すべての命がそのように価値あるものであると知ることで、他者への敬意、自己への尊重、そして責任ある行動が生まれます。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
組織と人材開発 | 組織は“母体”、リーダーは“種子を与える父”。リーダーが適切なビジョンと信頼を注げば、人材は自然に育つ。 |
商品・サービス創造 | 新しいサービスやプロジェクトも、「受け皿」と「意志」の両輪が必要。環境整備と目的意識が噛み合ってこそ価値が生まれる。 |
多様性の尊重 | あらゆる形態(人種、性別、性格)は、それぞれに“神の種”が宿っている。多様性を神聖な創造として受け入れる姿勢が、組織を豊かにする。 |
尊重と責任 | 自分自身も、他者も、自然も、「神聖な種と母体から生まれた存在」であると理解することで、倫理的・持続的な行動が育つ。 |
■心得まとめ
「すべての命に、神の種が宿る」
どんな存在も、神の意志によって自然という母体から生まれた。だからこそ、自他の命を軽んじてはならない。ビジネスにおいても、人・組織・商品は“生まれるべくして生まれた存在”として尊重され、育てられるべきである。
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