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誠にして天と地を経綸す:至誠の力で万象を治める」――誠の極みに達した者だけが、天地を導き、万民を育てる。


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■引用原文

唯天下至誠、為能経綸天下之大経、立天下之大本、知天地之化育、夫焉有所倚、
其仁、淵淵其淵、浩浩其天、
苟不固聡明聖知、達天徳者、其孰能知之。


■逐語訳

  • ただこの世において**完全なる誠を体現した者(至誠)のみが、
     天下の
    最も根本的な秩序(大経)を整え、
     天下の
    根源的な原理(大本)を確立し、
     天地の
    自然の生成育成(化育)**に参与することができる。
  • そもそも、そこに偏りや依存があろうはずがない。
  • その誠実さは手厚い仁そのものであり、
     深く静かなる淵のごとく深遠であり、
     天のごとく広大である。
  • もしも、真に優れた聡明さと聖なる知恵をもち、
     天の徳に通達した者でなければ、
     いったい誰がこの境地を知りうるだろうか?

■用語解説

用語解説
至誠完全無欠の誠、天理に合致した人格の完成形。聖人の極致。
経綸万事を整えおさめること。「経」は織物の縦糸、「綸」は整えて織る意。
大経・大本「大経」は社会秩序を貫く道(五倫など)、「大本」はそれを支える根源的徳性(中)。
天地の化育自然界の生育作用(生成と養成)を指す。
倚(よ)る所依拠する・偏る。ここでは「誠」は一切に依らず、偏らない独立した徳であることを強調。
仁・淵・天至誠が備える徳性を比喩で表現。仁=温厚、淵=深遠、天=広大無辺。
聡明聖知鋭い感覚と内面的な知恵の完成された姿。
天徳天が与える最高の徳。人間に内在する理の完成形。

■全体の現代語訳(まとめ)

この世でただ完全な誠を備えた人(至誠)だけが、
天下の根本秩序を整え、
根源的な徳を確立し、
天地自然の生成・育成という大いなる働きに参与できる。

そのような至誠の人は、偏ることなく中正そのものであり、
その姿はまさに仁愛そのものであり、深遠そのものであり、広大そのものである。

本当に優れた聡明さと神聖なる知恵を兼ね備え、
天の徳に到達した者でなければ、
このような崇高な境地を知ることは到底できないのである。


■解釈と現代的意義

観点解釈
至誠=世界を動かす力真に誠を尽くした人のみが、社会の大義や原理を整える力を持つ。
リーダーの人格の極致仁・知・中正・独立性という最高の人格要件を満たす人物像。
自己の徳に拠る世界観外に拠らず、内なる誠と徳性によってすべてを律するという態度。
人智の限界と天の境地誠を極めた者だけが天の働きを理解・参与できる、という哲学的信仰。

■ビジネス応用と心得ポイント

  • 真に社会を動かすには「誠」が根本である
     → スキルや戦略の前に、人間としての誠実さ・中正・知恵を磨くべき。
  • 大局を見て整える者は、偏らず、私情に依らない
     → 経営判断・組織マネジメントにおいて、個人の利害を超えた判断軸が求められる。
  • 最高の知性は、仁愛・深さ・広がりと一致する
     → 天のようなスケール感と淵のような洞察の深さが真のリーダーに必要。

■心得一句(まとめ)

「誠を極めて、天地を経綸せよ」
――誠の力は、社会を動かし、自然と共に世界を導く。


この章で『中庸』の核心である「誠の道」の頂点が語られます。

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