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心こそ、世界を統べる王である


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■引用原文(仮訳)

第六の機能(=五官につづく心)が、支配者である王である。
それが欲情に染まっているときには欲情のままになり、
染まっていないときには「汚れを離れた者」となるが、
染まっているときには「凡夫」とよばれる。


■逐語訳(意訳)

目・耳・鼻・舌・身――五つの感覚器官に続く「心」こそが、
人を導く“王”である。

この心が欲に染まれば、
人はそのまま欲に引きずられる存在(凡夫)となり、
逆に染まらなければ、
心の清らかさを保った者(聖者)と呼ばれる。

ゆえに、心の在り方がすべてを決めるのである。


■用語解説

  • 第六の機能=心(マナス):五感の背後にある「内なる感覚器官」。判断・欲求・記憶・選択を司る。仏教でもインド思想でも中心概念。
  • 支配者である王:他の器官や行動に命令を下す中心。ギーターでは「心が友にも敵にもなる」とされる(第6章第5–6節)。
  • 欲情に染まる:欲望・執着・感情に引きずられて自律を失う状態。
  • 汚れを離れた者(聖者):心が静かで澄んでおり、感官に支配されない者。
  • 凡夫:迷いの中にある、普通の煩悩に満ちた人間。

■全体の現代語訳(まとめ)

五感が情報を集める器官であるなら、
それをどう受け止め、判断し、行動に変えるかは「心」次第。

この心が欲望や感情に染まれば、
人は翻弄され、迷いの道へと進む。
しかし、欲に染まらず、清らかさを保てば、
人は導く者となり、自身も他者も照らす存在になる。

まさに、心の王国の主は、自分自身である


■解釈と現代的意義

この句は、「外界の刺激よりも内なる反応(=心の状態)が、
人間の行動と人格を左右する」と説く、深い心理的洞察です。

『バガヴァッド・ギーター』でも、
第3章37節で**「欲望こそ、人の敵である」とされ、
第6章では
「心は最上の味方にも、最悪の敵にもなりうる」**と明言されます。

つまり、何を見るか・何が起きるかよりも、
それをどう受け取り、心を保つかが、人格と運命を決める――
この自覚が、現代にも通じる教訓です。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点解釈と応用例
意思決定力情報は外から来るが、判断は内から。心を整えずにして正しい判断はできない。
リーダーの心構え感情や欲望に支配されず、平静を保つ心が周囲に安心と信頼をもたらす。
ストレスマネジメント心の使い方を知ることで、外的状況に振り回されず、穏やかで効果的な対応が可能になる。
自己認識と修養「心がどこに向かっているか」を観察し、訓練することが、成熟した人間性と成果につながる。

■心得まとめ

「心を制する者は、人生を制する」

心が欲に染まれば、
知性も行動もその色に染まる。
しかし、心が静かで透明ならば、
すべての行為は清く、穏やかに実を結ぶ。

王である自分の“心”をどう養うか――
それが、迷いを越えて進むための最も確かな道なのです。


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