目次
📜 引用原文(日本語訳)
聖バガヴァットは告げた。
人々は不滅のアシュヴァッタ樹(菩提樹)について語る。
上方に根があり下方に枝がある。
その葉は〔ヴェーダ〕讃歌である。
その樹を知る者はヴェーダを知る。
(『バガヴァッド・ギーター』第15章 第1節)
逐語訳
バガヴァーン(神)は言った:
「人々はアシュヴァッタ樹(インド菩提樹)のことを、不滅のものとして語る。
この樹は上方(天)に根を持ち、下方(地)に枝を垂らしている。
その葉はヴェーダ(聖典)讃歌であり、
この樹の本質を知る者こそ、ヴェーダの智慧を知る者である。」
用語解説
用語 | 意味 |
---|---|
アシュヴァッタ樹 | インド菩提樹。無限の存在(宇宙・生命・業)を象徴する。 |
上方に根 | 根源(神・真理・霊性)が天にあること、つまり目に見えない高次の領域とのつながり。 |
下方に枝 | 目に見える現象世界(人間社会・行為・自然)に広がる影響や行動。 |
葉はヴェーダ讃歌 | ヴェーダの教えや真理が、生命の表現や活力の源になっていること。 |
この樹を知る者 | 宇宙と自己の本質、因果の構造、根源の智慧を理解する者。 |
🧾 全体現代語訳(まとめ)
世界という存在は、まるで上下逆さまの菩提樹のように語られる。
その根は天(霊的世界)にあり、枝葉は地上(現実世界)に広がる。
この構造を深く理解する者こそ、真に智慧ある者である。
解釈と現代的意義
この節は、「現実世界の背後には霊的根源がある」という比喩を通して、私たちが目にする現象(行為・結果・社会)の背後には、見えざる法則や因果(カルマ)、普遍的真理が存在していることを示します。
枝葉を見て騒ぐのではなく、根を見極めることで、本質的な生き方・判断・行動が可能になるという教えです。
ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
理念と行動の一致 | 表面的な成果や流行に振り回されず、理念やミッションを「根」に置いた事業展開を行う。 |
根本原因の把握 | トラブルや課題の「枝葉」ではなく、その背後にある「根本原因」に焦点を当てる思考。 |
長期的視点 | 見える部分(売上・数値)だけでなく、見えない部分(文化・人材・信頼)に目を向けて育てる。 |
霊性と実務の両立 | 実務の世界においても、心の在り方や精神的原則(誠実・謙虚・真理)を行動の軸とする。 |
心得まとめ
「根を天に、枝を地に。行動の前に、理念を据えよ」
目に見える成果や活動の背後には、
見えない価値観や原則が根付いている。
逆境や混乱のときこそ、自らの「根」を確かめ、
そこから世界に枝を伸ばすことが、真の智慧ある行動である。
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