目次
📖引用原文(日本語訳)
これは安らかなよりどころである。
これは最上のよりどころである。
このよりどころにたよって、あらゆる苦悩から免れる。
――『ダンマパダ』 第二七章「観察」第三十五節
🧩逐語訳と構成的解釈
- これは安らかなよりどころである:前節で述べられた仏・法・僧への帰依と四諦の正見こそ、心を動揺から解放する本質的な“依り所”。
- これは最上のよりどころである:「安らぎのため」だけでなく、「完全な解脱=苦悩の根本的解消」に至る唯一の道であることを示す。
- このよりどころにたよって、あらゆる苦悩から免れる:他のものでは代替できない、普遍的かつ根源的な救済手段であると明言。
🧠用語解説
用語 | 解説 |
---|---|
よりどころ(サラナ) | 帰依対象。心を預けるに足る存在や原理。仏教では仏・法・僧がそれにあたる。 |
安らか(ケーマ) | 心の不安や恐怖が消えた状態。精神的な平穏。 |
最上(ウッタマ) | 最高、究極、他と比較できない完全性。 |
免れる(ムッチャティ) | 解放される。束縛や苦しみから自由になること。 |
🪷全体の現代語訳(まとめ)
真理に根ざした帰依こそが、
本当に心を安らげる「最上のよりどころ」である。
このような拠り所を見い出し、
信じ、頼ることができたとき――
人は、どんな苦しみからも
必ず自由になっていけるのだ。
🌱解釈と現代的意義
この節は、仏教的な「信」の完成形とも言える一文です。
信じるとは、盲信することではなく、深く理解したうえで依り所とすることです。
現代社会では、情報・経済・人間関係など、絶えず変化する不安定なものに依存して苦しむ人が多い中、
「変わらない原理=真理」に拠ることの安定性・安心感は、時代を越えた指針となります。
💼ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 実務への応用例 |
---|---|
拠り所の選定 | 外的要因(景気・評価・流行)ではなく、理念・ビジョン・原理原則をよりどころにする経営姿勢が持続性を生む。 |
動じない判断軸 | 本質的価値観(誠実・真理・継続的成長)を信じて行動する組織や人は、環境の変化にも動じない。 |
深い安心と力 | 外部の承認ではなく、自分の中にある「確信」によって支えられた行動は、揺らぎが少なく、継続性が高い。 |
📝心得まとめ
「どこに帰依するかで、人生の質は決まる」
仏に帰依し、法に帰依し、
その道を実践する人々(僧)に帰依する――そこには、一切の苦悩からの解放という、
究極の果実がある。流されず、惑わされず、
自らの心に確かな依り所を持つことこそ、
真の自由を手にする道である。
この三十五節で、第二七章「観察」は重要な転換点を迎えます。
ここまでの内容を通じて、「外に拠るな。内なる真理とその体現者に拠れ」という仏教の基本姿勢が明快に示されました。
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