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■引用原文(日本語訳)
第一七章 怒り(二二四)
真実を語れ。怒るな。請われたならば、乏しいなかから与えよ。
これらの三つの事によって(死後には天の)神々のもとに至り得るであろう。
■逐語訳
- 真実を語れ。
→ 偽りや飾りなく、正直に言葉を語りなさい。 - 怒るな。
→ 怒りに心を任せることなく、平静を保ちなさい。 - 請われたならば、乏しいなかから与えよ。
→ 自分が貧しくても、求められたら分かち与えなさい。 - これらの三つの事によって、神々のもとに至り得るであろう。
→ この三つを実践すれば、死後に善趣(天界)へと至るであろう。
■用語解説
- 真実(サッチャ):虚飾のない誠実な言葉。仏教において五戒の一つ「不妄語」にも通じる。
- 怒り(コーダ):煩悩の代表格。怒りは心を曇らせ、他人を害し、自らを損ねる。
- 乏しいなかから与える:自らも不足している中での布施。執着を捨てる最上の実践。
- 神々のもと(デーヴァローカ):善業によって死後に赴く天界の領域。物質的・精神的な安楽の場とされる。
■全体の現代語訳(まとめ)
正直に語り、怒りを抑え、求められたときにはたとえ貧しくとも分かち与える。
これら三つの行いを実践する者は、死後に天界の神々のもとに生まれるにふさわしい存在となるであろう。
■解釈と現代的意義
この偈は、「日常の中の小さな行い」が、魂を高める道であると教えています。
特別な宗教的修行でなくとも、正直で、怒らず、分かち合いの心を持つことが、すでに高い徳の実践であるのです。
特に現代のように他者への共感が希薄になりがちな社会において、この三つの実践は、人間関係と信頼を築く礎になります。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
誠実なコミュニケーション | 顧客や同僚に対し、ごまかさず正直に情報を伝えることが、信頼の基盤を作る。 |
感情の安定 | 怒りに任せて発言するのではなく、冷静に応答することで、組織の雰囲気もよくなる。 |
シェアと協力の精神 | 自分のリソースが少なくても、後輩や同僚に時間や知識を分け与えることで、組織全体が成長する。 |
リーダーシップの本質 | 立場や利益を超えた「真実」「寛容」「無私」の実践が、人々の尊敬と支持を集める。 |
■心得まとめ
「正直に、穏やかに、分かち合う者が、最も高貴である」
日々の行いは小さくても、そこに込められた徳が、人生の質と死後の行方を決める。
ビジネスにおいても同様に、正直な姿勢、怒らない態度、惜しみなく与える心が、信頼と繁栄を築く鍵となります。
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