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恐れと欲の川を渡りきった者


目次

📜 原文(第三六節)

恐ろしい道を渡りおわった。
深淵は避けられた。
軛(くびき)や束縛からは解放された。
情欲の毒はすべて根だやしにされた。


🔍 用語と思想の解説

用語解説・意義
恐ろしい道生死・輪廻・迷いに満ちた人生の道。苦しみと無明に覆われた存在の流転。
深淵欲望・怒り・無知などに陥る危険な深み。精神的堕落や絶望の象徴。
軛(くびき)束縛や抑圧の象徴。欲望や業(カルマ)による束縛。
情欲の毒三毒(貪・瞋・痴)の中でも、貪欲(情欲)は最も人を惑わせる毒。

これらすべてが「渡り終えた」「避けられた」「解放された」「根絶された」という過去完了形で語られており、
修行者が最終解脱に到達したことを明確に示しています。


🧠 現代的解釈と意義

この節は、外界の成功・敗北や他人の評価ではなく、
内的な束縛(恐れ・欲望・迷い)を乗り越えた人が、真の自由を得ることを説いています。

現代社会においても、「恐ろしい道」「深淵」とは、たとえば――

  • 不安や焦りで選択を誤ること
  • 他人の期待に飲み込まれること
  • 結果や名声に振り回されること

こうした迷いの数々から完全に脱し、自らの内面を統御するに至った者は、
静かで強い自由を得るのです。


💼 ビジネスへの応用的視点

観点解釈と適用例
リーダーシップ恐れや欲に動かされないリーダーは、重大な判断を正しく下せる。
ストレスマネジメント情欲や不安に揺れることなく、自らを律する力が真の安定をもたらす。
働く意味の再定義外的評価ではなく、「自らを束縛していた執着から自由になること」が成長の本質。
組織づくり束縛(マイクロマネジメント)よりも、欲望をコントロールしあえる自由な信頼文化が強い組織を作る。

✅ 心得まとめ

「恐れも欲も過ぎ去ったとき、
人は初めて、本当の自由を知る。」

この節が描くのは、「何かを得る」自由ではなく、
何にも縛られないという内的な自由。
それは、避け難い苦や迷いに直面し、それでもそこから逃げずに歩き通した者にのみ訪れる穏やかな完成の境地です。


🔚 節構成における位置づけ(33〜36)

主題概要
三三〜三四少数者が真理を見抜き、彼岸に至る選ばれた歩みの始まり
三五解脱した者は悩みがない完成された精神
三六束縛をすべて断ち切った状態行き着いた自由の象徴
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