人を評価するとき、
目に見える行為や言葉だけで、
その善し悪しを即断してはならぬ。
行為とは、志と所作とが織りなすものである。
どれほど立派な振る舞いに見えても、
その裏に私利私欲があれば、
それは偽善の衣をまとった悪である。
反対に、粗野で拙い行為に見えても、
その根にまことの志があれば、
それは善意の種であり、後に大きな果を結ぶこともある。
だからこそ、
人の行いを正しく判断しようとすれば、
その志の高さ、行動の質、分量と状況の適否を、
よくよく見極めねばならぬ。
志が高くとも、行為が粗暴ならば害をなす。
行為が整っていても、志が低ければ浅ましい。
また、分を越えた正義は、時に他を損なうことすらある。
善悪とは、表に現れた姿形ではなく、
内なる意図と行為の釣り合いに宿る。
ゆえに、人を見るにも、己を省みるにも、
常に「志」と「行い」、
そしてその度合いとバランスを参酌すべし。
早急な断じ方は誤りを生み、
真の人物を見落とすもととなる。
真に人を見極めたいと欲すれば、
深く観て、広く量り、静かに識ることが肝要である。
○人の行為の善悪を判断するには、よくその志と所作の分量性質を参酌して考えねばならぬ
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