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共に得たものを軽んずるな――感謝こそが心の豊かさを育てる


目次

■原文(一一)

もしも楽しく生きようと欲するならば、
修行者のつとめに注視して、
教団の所有である衣や飲食物を軽んじてはならない。


■逐語訳

  • 楽しく生きようと欲するならば:真の平安と喜びに満ちた人生を望むなら。
  • 修行者のつとめに注視して:日々の自己修養や戒律を忘れず、正しく精進しなさい。
  • 教団の所有である衣や飲食物:共同体から与えられた施し、共通の資源(衣類・食事など)。
  • 軽んじてはならない:それらの恵みに対し、感謝と慎みを忘れてはならない。

■用語解説

  • 教団の所有物:仏教の僧伽(サンガ)において、個人所有ではなく、信者や支援者からの布施により成り立つ共有財産。
  • 衣や飲食物:衣=法衣、住居;飲食=食事・水など。生存に不可欠であり、慎ましやかに受け取るべきもの。

■全体の現代語訳(まとめ)

もし、心から楽しく安らかに生きたいと願うなら、まず自らのつとめに真剣に取り組みなさい。
そして、教団から与えられた衣服や食べ物――それらを当然のものとせず、感謝と敬意を持って接しなさい
なぜなら、そこには他者の善意、信頼、奉仕の心が込められているからである。


■解釈と現代的意義

この句は、仏教の修行者に向けた布施への感謝と資源への謙虚な態度を説いています。
しかしそれは、現代においてはより広く、会社・家庭・社会で与えられている恩恵への感受性と解釈できます。

私たちはつい、日常的に与えられている「設備」「報酬」「食事」「環境」を当たり前と思いがちです。
ですが、その背後には多くの人の労力や思いやりがあり、軽視する態度は組織や信頼を壊します。
感謝を忘れると、心は貧しくなる。逆に、感謝をもつ人は少ないものでも豊かに生きられる――この教えは、現代社会にとっても重要な指針です。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点解釈・適用
組織資源への態度備品・福利厚生・支給品など、共有資源に対する尊重が、企業文化を形作る。乱雑な扱いは信頼と秩序を損なう。
給与や報酬への謙虚さ「もらって当然」ではなく、「支えられている」という視点を持つことで、責任感と誠実さが育つ。
チーム貢献の評価他人の成果やサポートの価値を見逃さず、きちんと敬意を払える人が、信頼される存在となる。
経営者・管理職の姿勢社員の努力や顧客からの支援に「当たり前」を感じず、日々の感謝を形にすることで、持続可能な信頼が築かれる。

■心得まとめ

「与えられたものに敬意を、支えられたことに感謝を」

衣や食は、物質であっても、そこには人の心が込められている。
それを軽んじる心は、傲慢と忘恩に通じる。
どれほどの資源を持つかではなく、それをどう扱うかが人格を決める。
ビジネスの現場でも、人の時間・知恵・信頼に敬意を払い、真摯に受け取る心が、持続的な成功と人間関係の土台となる。

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