目次
■引用原文(日本語訳)
「激質の増大した時に死ねば、行為に執着する人々の間に生まれる。暗質の増大した時に死ねば、愚昧な者の胎に生まれる。」
(第14章 第15節)
■逐語訳
激質(ラジャス)が支配している状態で死んだ者は、行為への執着を持つ者たちの間に再び生まれる。
暗質(タマス)が支配している状態で死んだ者は、無知と迷妄に包まれた人々のもとに生を受ける。
■用語解説
- 激質(rajas):欲望・行動・情熱・達成意識を強く伴う性質。
- 行為に執着する人々(karma-saṅginām):常に行動の結果・成果に縛られて生きる人たち。
- 暗質(tamas):怠惰・無知・混乱・無関心を象徴する性質。
- 愚昧な者(mūḍha-yoniṣu):真理を理解できず、思考や行動が混乱している人々。
■全体の現代語訳(まとめ)
激質が優勢な状態で人生を終えると、再び「行動や欲望に囚われた世界」に生まれ変わり、成果や刺激に翻弄される生を繰り返すことになる。
一方、暗質が支配している時に死んだ者は、無知や錯覚の深い場所に生まれ、目覚めることのないまま人生を過ごす傾向がある。
■解釈と現代的意義
この節は、「死の瞬間の心の質」がその後の存在状態に直接関わるという教えですが、より広く捉えると「人生の節目の迎え方が、次の人生(仕事・人間関係・転機)の質を決定づける」という示唆でもあります。
“執着の中で終えれば、次も執着に縛られたステージが訪れる”という循環から脱するためには、どの瞬間も「気づいて終える」ことが大切なのです。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
執着を手放せない人 | 成果や承認に固執して仕事を終えると、次の業務も「追われる感覚」で繰り返すことになる。 |
負の感情で終えた関係性 | 怒りや怠惰の中で人間関係や仕事を終えると、次の場面でも似たような問題が再発しやすい。 |
組織文化の輪廻 | 問題を放置し、無知・惰性の中で事業やプロジェクトを終えると、組織内に「学ばない文化」が継承されてしまう。 |
自己反省と修了力 | 一つひとつの仕事・対話・経験を「意識的に終える」ことで、次に進む力と流れが変わる。成長は終え方から始まる。 |
■心得まとめ
「どのように終えるかが、次の自分を形づくる」
激質に囚われて死ぬ者は再び執着の中に生まれ、暗質に沈んで死ぬ者は迷妄の中に留まる。人生や仕事の一つひとつの“終え方”こそが、次なるステージの扉となる。終え方に執着や怠慢があるなら、そこから始まるものも同じ性質を帯びる。
ゆえに――すべての行いは、静かに、意識的に、感謝のうちに締めくくれ。
コメント