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義務を捨てることは、無知による退避である


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■引用原文(日本語訳)

「一方、定められた行為の放擲はよろしくない。迷妄によってそれを捨てることは、暗質的な捨離であると称される。」
(バガヴァッド・ギーター 第18章 第7節)


■逐語訳

定められた義務的な行為(ニヤタ・カルマ)を放棄することは、ふさわしくない。
もしそれを無知(アヴィディヤー)や迷妄(モーハ)によって捨てるならば、それはタマス(暗質)に属する捨離であるとされる。


■用語解説

  • 定められた行為(ニヤタ・カルマ):個人の立場・責任・役割に応じてなすべきとされる義務。社会的・道徳的責務。
  • 放擲(サンニャーサ):ここでは、行為そのものの放棄。義務から逃避すること。
  • 迷妄(モーハ):正しい理解の欠如。混乱、自己欺瞞による誤った判断。
  • 暗質(タマス):三つの性質(グナ)のうちの一つ。怠惰・無知・混乱を象徴する精神状態。

■全体の現代語訳(まとめ)

本来やるべき義務を、「わからない」「もういい」といった混乱した理由で放棄することは、良いことではない。
それは、理解と誠実さを欠いた「無知からの逃避」であり、ギーターはこのような捨離を「暗質的捨離」として否定的に評価している。


■解釈と現代的意義

この節は、「何を手放すか」ではなく「どういう動機で手放すか」が重要であることを強調しています。
本当の自由は、理解と気づきから生まれるが、無知や混乱からの逃避は自己崩壊につながる。
社会や家庭、職場で果たすべき義務を、自分勝手な理由で投げ出すことは、魂の成長を妨げる行為であると説かれているのです。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
職務放棄業務や責任を「面倒」「つまらない」などの理由で勝手に手放す行為は、個人としても組織としても損失をもたらす。
プロジェクト離脱チームで決めた行動計画を、理由なく突然放棄することは信頼を損ない、チームの力を弱める。
意思決定「わからないからやめておこう」「とにかく逃げたい」といった衝動的判断は、長期的に見て損失や後悔をもたらす。

■心得まとめ

「理解なき放棄は、逃避である」
『ギーター』は教える。義務から逃げることは、自由ではなく無知。
やるべきことを理解し、意識的に実行する中にこそ、成長と悟りがある。迷いによる放棄は、暗闇に身を委ねる行為であり、魂を曇らせるだけである。


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