慎みをもって己を律する者は、大きく踏み外さない
孔子は、自らを「約(やく)する」――すなわち節度をもって行動を控えめにすることの大切さを説いた。
声高に主張せず、欲望のままに振る舞わず、慎重に、節制をもって日々を送る人は、失敗が非常に少ないという。
この「約」とは、ただ小さくまとまることではない。
むしろ、行き過ぎや傲慢を自ら律し、継続して成長し続けるための「内なる力」である。
控える勇気、抑える知恵――それこそが長く人から信頼され、持続的に徳を積むための鍵なのだ。
原文とふりがな付き引用
子(し)曰(いわ)く、約(やく)を以(もっ)て之(これ)を失(うしな)う者は、鮮(すく)なし。
慎み深さをもって生きる人に、
道を誤る者はほとんどいない。
注釈
- 約(やく)…節度・控えめ・慎みの心。必要以上を求めず、己を律すること。
- 失う(うしなう)…道徳的に誤ること、信頼を失うこと、失敗すること。
- 鮮し(すくなし)…まれである、めったにない。ここでは「ほとんどない」という意。
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