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命を敬い、慎みを守る者は、死をも超える


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■引用原文(日本語訳)

第一七章 怒り(二二五)
生きものを殺すことなく、つねに身をつつしんでいる*聖者は、不死の境地*におもむく。
そこに至れば、憂えることがない。
*つつしみ(身をつつしむ):行動・言葉・心における節度を保つこと。
*不死の境地:涅槃(ニッバーナ)を意味する。死を超越した悟りの状態。


■逐語訳

  • 生きものを殺すことなく、
     → あらゆる生命を尊重し、暴力や殺生を避けることによって、
  • つねに身をつつしんでいる聖者は、
     → 常に行動・言葉・心を慎み、節度ある生活をする修行者は、
  • 不死の境地におもむく。
     → 生死を超えた涅槃(悟り)の境地に至るであろう。
  • そこに至れば、憂えることがない。
     → 涅槃に到達した者には、もはや苦しみも悩みも存在しない。

■用語解説

  • 殺生を避ける:仏教の第一戒「不殺生戒」に当たり、あらゆる命を傷つけないという実践。
  • 身をつつしむ(慎み):欲望や怒りに支配されず、行動・言葉・思考において節度と倫理を保つこと。
  • 聖者(アーリヤ):悟りへの道を歩む者。五戒・八正道などを実践する人格者。
  • 不死の境地(アマタ):輪廻転生を終えた解脱の境地、すなわち涅槃。死という概念を超えた精神的自由。
  • 憂えることがない:煩悩・執着・苦悩から完全に自由である状態。

■全体の現代語訳(まとめ)

生きとし生けるものを害することなく、常に慎み深く生きる聖なる人は、やがて生死を超越した悟りの境地へと至る。
その境地においては、もはや悲しみや悩みといった一切の苦しみは存在しない。


■解釈と現代的意義

この偈は、「慈しみと節度」が精神的な究極の安らぎへ導く鍵であることを教えています。
暴力的な言動を避けるだけでなく、日常のあらゆる場面で「慎み」の心を持つことで、怒りや欲から解放される人生に近づくのです。
命を軽んじず、すべての存在に敬意を持つ姿勢は、現代社会においても深い意味を持ちます。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
倫理的リーダーシップ強圧的なマネジメントではなく、思いやりと尊重をベースにした人材育成が、長期的な信頼と組織の成長につながる。
自制力と慎み成果や評価への欲望に流されず、誠実さを守る姿勢が、結果として高い評価を得ることにつながる。
社会との関係性環境や人への害を避ける「非加害」の姿勢が、持続可能な事業運営に不可欠となっている。
内面の安定と幸福日々の行動を「慎み」の視点で見直すことで、不要な衝突やストレスから解放され、心の平穏を保てる。

■心得まとめ

「慎みと慈しみが、永遠の安らぎをもたらす」
怒りを抑えるだけでなく、暴力を避け、節度ある生活を保つことが、最終的に心の安寧と自由を得る道です。
ビジネスでも、激しさや競争ではなく、穏やかで慎みある姿勢こそが、持続的成功と信頼を築く礎となるのです。

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