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親しさの中にこそ、礼と敬意を忘れない

目次

時を経ても、互いを尊重し続ける関係こそ本物

孔子は、斉の名宰相・晏平仲(あんへいちゅう)についてこう語った。
「彼は人とのつき合いにとても長けていた。時間が経っても、相手への敬意を失わなかったのだ」と。
一般に、人は付き合いが長くなると馴れ合いになり、言葉が粗くなったり、相手を軽んじたりしがちである。
しかし、本当に人を尊重できる人物は、関係が深まれば深まるほど、相手をより敬うようになる

晏平仲は、単なる社交上手ではなく、「親しみ」と「敬意」という一見矛盾するものを両立させた人物として、孔子から高く評価されたのである。
この言葉は、友情・仕事・家族・上司部下など、あらゆる人間関係に通じる、古今変わらぬ真理を教えてくれる。

つき合いが長くなるほど、相手をなお敬える――それが本当の信頼関係である。

原文

子曰、
「晏平仲善與人交、久而敬之。」

書き下し文

子(し)曰(い)く、
「晏平仲(あんへいちゅう)は、善(よ)く人と交(まじ)わる。久(ひさ)しくして之(これ)を敬(けい)す。」

現代語訳(逐語・一文ずつ訳)

「子曰、晏平仲善與人交」

→ 孔子は言った。「晏平仲は、人と良い関係を築くことに長けていた。」

「久而敬之」

→ 「その交わりが長く続いても、相手から敬意を抱かれ続けた。」

用語解説

  • 晏平仲(あんへいちゅう):春秋時代、斉の名宰相・晏嬰(あんえい)の諡(おくりな)。知恵と徳を備えた人格者として知られる。
  • 善與人交(よくひととまじわる):人間関係において誠実・円滑に交際できる能力。
  • 久而敬之(ひさしくしてこれをけいす):「付き合いが長くなるにつれ、かえって相手に尊敬の念を抱く」こと。逆に言えば、時間とともに敬意が増していく人柄のこと。

全体の現代語訳(まとめ)

孔子はこう言った:
「晏平仲は、人との関係構築が非常に上手であった。付き合いが長くなっても、相手は彼に対する敬意を失うどころか、むしろ深めていった。」

解釈と現代的意義

この章句は、**「真に徳のある人物は、付き合いが長くなるほどに尊敬される」**という深い人間観を表しています。

  • 表面だけの付き合いや取り繕いでは、最初は好印象でも時間とともに敬意を失う。
  • 晏平仲のような人物は、時間の経過とともに“内面の誠実さ”や“徳”がじわじわと相手に伝わっていく
  • 孔子はこのような「持続可能な信頼関係」を築ける人物を「善く人と交わる者」として称賛した。

これは、単なる人付き合いの巧拙ではなく、人格によって信頼を勝ち得る在り方を示しています。

ビジネスにおける解釈と適用

「長期的信頼を築ける人間こそ“本物”」

初対面では誰もが好印象を装えるが、時間とともに信頼や尊敬が深まる人物は極めて稀
その違いを生むのは、**“誠実な行動”と“一貫性のある言動”**である。

→ “会うたびに信頼される人”を目指すことが、真のビジネスパーソンの道。

「“継続して敬意を抱かれる関係”を目指すマネジメント」

部下・同僚・取引先との関係において、「時間とともに信頼が摩耗する」のではなく、「深まる」ようなマネジメント・関係構築が求められる。

→ “付き合いが長いからこそ評価される人”になれ。

ビジネス用の心得タイトル

「時が証明する信頼──“長く付き合っても尊敬される人”たれ」

この章句は、**一時的な印象ではなく、長期的な人間関係を通してこそ見える“真の信頼”**を説いています。

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