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真理を念じて、道を外れぬ者となれ


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■引用原文(『ダンマパダ』第二一章 第二九七偈)

ゴータマの弟子は、いつもよく覚醒していて、昼も夜も常に法を念じている。
――『ダンマパダ』 第二一章 第二九七偈


■逐語訳(一文ずつ訳す)

  • 「ゴータマの弟子は」
     ――釈尊(ゴータマ・ブッダ)の教えに従う修行者・信仰者は、
  • 「いつもよく覚醒していて」
     ――常に気づきを保ち、心の働きを観察し、無自覚に陥らない状態にあり、
  • 「昼も夜も常に法を念じている」
     ――一日中、仏陀の教え(法=ダンマ)を思い、心に留め、行動に映している。

■用語解説

  • 法(ダンマ)
     仏が説いた真理、存在の法則、因果律、正しい行為の規範などを指す。単なる「教え」ではなく、「現実そのものの在り方」を意味する。
  • 念じる(サティ)
     思いを集中して心に留めること。単なる記憶ではなく、気づきをもって対象に意識を向ける精神的実践。
  • 覚醒(アパマーダ)
     不注意や惰性から脱し、意識的・慎重に行動する生き方。放逸(気のゆるみ)の対義概念。

■全体の現代語訳(まとめ)

仏陀の教えに従う弟子は、常に目覚めた心で、昼夜を問わず「法(真理)」を心に保ち、それに基づいて生きようと努める。真理を意識し、実践することによって、誤りから離れ、清らかな道を歩むのである。


■解釈と現代的意義

この偈が説くのは、「法(ダンマ)」=普遍的な真理や道理を心に刻むことの重要性です。
「法を念じる」とは、抽象的な経典を唱えることではなく、

  • 嘘をつけば信頼を失う
  • 怠れば結果が出ない
  • 執着すれば苦しみが生まれる

――といった、人生に通底する普遍的な因果法則に気づき、それを日々の判断や行動の基準にすることを意味します。

覚醒とは、「目の前のことを正しく見る力」、
法を念ずるとは、「すべての行為を正しく導く羅針盤を持つこと」。

これこそが、混乱の多い現代における「心の安定装置」となるのです。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
原理原則に立ち返る短期利益に目がくらむとき、「お客様第一」や「誠実であること」など基本理念を再確認することで判断がぶれない。
理念経営の徹底経営理念や企業のミッションを全社員が共有し、それに照らして意思決定することで、組織の一貫性が生まれる。
意思決定の軸を持つ判断に迷うときに「法(道理)」を思い出すことが、後悔しない選択につながる。
継続的な自己調律日々の反省と確認を通して、「自分の行為は道理にかなっているか?」を自問する姿勢が、信頼と成長を育む。

■心得まとめ

「真理を忘れず、行動する者に迷いはない」

正しい道を進む者は、道を忘れぬ。
法(ダンマ)を心に刻み、
常に目覚めて生きる人こそ、
混乱の時代にあっても、静かな強さを持つ。

仏を念ずる者が理想を持ち、
法を念ずる者は現実の中に理想を映す。


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