人にしてあげたことはすぐに忘れ、人にしてもらったことは忘れない。
この逆を行うと、人の徳は損なわれ、心の美しさも曇っていく。
人に恩を施しても、それを記憶し誇るべきではない。
逆に、自分がかけた迷惑は忘れず、反省し、改める気持ちを持つべきである。
また、人から受けた恩義は心に深く刻み、必ず感謝を忘れぬこと。
しかし、人に対する恨みは、早く心から手放すべきである。
これこそが、人間関係を正しく築き、心豊かに生きるための根本である。
原文とふりがな付き引用
我(われ)、人に功(こう)有(あ)らば念(おも)うべからず、而(しか)して過(あやま)ちは則(すなわ)ち念(おも)わざるべからず。
人(ひと)、我(われ)に恩(おん)有(あ)らば忘(わす)るべからず、而(しか)して怨(うら)みは則(すなわ)ち忘(わす)れざるべからず。
注釈(簡潔に)
- 功(こう):他人のために尽くした労(ろう)。誇りに思いたくなるが、見返りを求める心を戒める。
- 過ち(あやまち):自分が他人にかけた迷惑・過失。責任を持って忘れず、省みる。
- 恩(おん):他者から受けた好意・助け・徳義。感謝し、心に留める。
- 怨み(うらみ):負の感情。持ち続ければ心を濁らせるため、早く手放すべき。
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