目次
📖 原文引用(『ダンマパダ』第二五章 第364偈)
真理を喜び、真理を楽しみ、真理をよく知り分けて、
真理にしたがっている修行僧は、
正しいことわりから堕落することがない。
(原文:
Dhammaṃ dasseti medhāvī,
dhammaṃ bhāsati bhikkhuno,
dhammaṃ jānāti dakkho so,
dhamme thito na lippati.
―『Dhammapada』Ch. 25, v.364)
🔍 逐語訳(逐文・簡潔)
- Dhammaṃ dasseti medhāvī:智慧ある者は、法(真理)を示す。
- Dhammaṃ bhāsati bhikkhuno:修行者は、法について語る。
- Dhammaṃ jānāti dakkho so:熟達した者は、法をよく知り分ける。
- Dhamme thito na lippati:法に立脚する者は、執着に染まらない(正しい道から外れない)。
📘 用語解説
- 真理(Dhamma/ダンマ):仏教における「法(ダルマ)」。普遍的な真実、宇宙と心の秩序、あるいは教えそのもの。
- 喜ぶ・楽しむ(dasseti/bhāsati):単なる知識でなく、真理を内面的に味わい、それに喜びを感じること。
- 知り分ける(jānāti):表面的な理解ではなく、洞察を持って事象の本質を見極める力。
- 堕落しない(na lippati):「染まらない」「汚れない」という意味で、執着・欲望・邪見に流されず、道を外れないことを指す。
🗣️ 全体の現代語訳(まとめ)
真理を喜び、真理を楽しみ、真理を深く理解している修行者は、
その真理に従って日々を過ごすことで、
欲望や誤った考えに流されることなく、正しい道から外れることがない。
🧭 解釈と現代的意義
この偈は、**知識や理論としての真理ではなく、それを「生きること」の大切さを説いています。
単に正しいことを知っているだけでは足りません。「真理を喜び、楽しみ、それに従って行動すること」**が、人格や人生を導くのです。
現代においても、情報はあふれていますが、「知っていても実践できない」「知識があるのに人を裁く」ことが多く見られます。
この偈は、知識と実践、理解と行動の一致こそが、堕落を防ぎ、信頼を築く道だと教えてくれます。
💼 ビジネスにおける解釈と応用
観点 | 応用・実践例 |
---|---|
経営理念の体現 | 会社のミッション・バリューを「知っている」だけでなく、「喜びと信念を持って実践」するリーダーシップ。 |
倫理的判断 | 困難な局面でも、自分の内なる原則や理念に基づき、誘惑や短期的利益に流されない判断を下す。 |
信頼される人物像 | 原理・原則に沿って一貫した行動をすることで、周囲からの信頼が高まり、指導的立場でも尊敬される。 |
自己成長 | 「知識を得る」ことに満足せず、それを日々の行動・選択・態度にどう活かすかを問い続ける姿勢。 |
🧠 心得まとめ(ビジネスパーソン向け)
「正しさを知る者は多い。しかし、正しさを喜び、実践する者は少ない。」
真理とは、使うための武器ではなく、生き方として自らを導く灯火である。
信念を内に宿し、それを日々に体現する人は、周囲に安心と影響をもたらし、迷いのない人生を歩む。
「喜びと共に真理を生きる者こそ、堕落しない。」
この偈は、リーダーや意思決定者にとって特に重要な心構えを教えてくれます。
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