目次
📖 原文引用(『ダンマパダ』第二五章 第381偈)
喜びにみちて仏の教えを喜ぶ修行僧は、
動く形成作用の静まった、幸いな、やすらぎの境地に達するであろう。
(原文:
Sabbaso nāmarūpasmiṃ,
yassa natthi mamāyitaṃ;
Asatā ca na socati,
sa ve “bhikkhū”ti vuccati.
※本文系には若干異同あり。該当偈の別伝でよく使われる形として以下もあり:
Saddhāya sīlena ca yuttayogo,
satañ ca dhammaṃ anudhammacārī;
Rāgādidosā pahatantarāyo,
sa ve muni sātasamāhitattoti.
―『Dhammapada』Ch. 25, v.381)
🔍 逐語訳(逐文・簡潔)
- Saddhāya sīlena ca yuttayogo:信と戒をもってしっかり修行に取り組み、
- Satañ ca dhammaṃ anudhammacārī:正しく法に従って歩む者は、
- Rāgādi-dosā pahatantarāyo:欲や怒りといった煩悩を克服し、
- Sa ve muni sātasamāhitatto:安らぎと精神統一に達した人となる。
📘 用語解説
- 仏の教え(dhamma):目覚めに至る真理。煩悩を滅し、苦から解脱するための法(ダルマ)。
- 形成作用(saṅkhāra):心や行動を形づくる条件づけられた力。常に変化し、無常である。
- 静まった(vūpasama):活動が止まり、平安な状態。煩悩や衝動が沈静化したこと。
- やすらぎの境地(sātasamāhitattā):喜びと集中が調和した、深い静寂と平和の内面状態。
🗣️ 全体の現代語訳(まとめ)
仏の教えを心から喜び、それに従って歩む修行者は、
欲望や怒りを離れ、心を鎮め、
やがて変化し続けるあらゆる作用を超えて、
静かな幸福、揺るぎない安らぎに到達するであろう。
🧭 解釈と現代的意義
この偈は、「法(教え)に喜びを見出す心」が、内面の変容と深い安らぎをもたらすことを説いています。
日々変わりゆく現象(形成作用)に巻き込まれず、内面の信と法に立脚することで、心の静けさと集中を得る――
これは、現代の多忙な生活の中でも非常に重要な生き方の指針です。
💼 ビジネスにおける解釈と応用
観点 | 応用・実践例 |
---|---|
価値観との一致 | 単なる仕事や収入ではなく、自分の信念やビジョンと一致する「働き方・生き方」に喜びを見出す。 |
情報過多の静けさ | 絶えず変化する情報やタスクに飲まれず、原則・指針(=法)に基づいて選択と行動を整える。 |
メンタルバランス | 外的刺激(称賛・評価・非難)に反応するのではなく、内的な静けさと喜びを源とする安定した精神を築く。 |
自己統御と集中力 | 欲や怒りに反応せず、目的に向けて静かに集中を保てる人は、長期的に高い成果と信頼を得やすい。 |
🧠 心得まとめ(ビジネスパーソン向け)
「外の変化に振り回されず、内なる教えに静かに立て」
流行や騒動、周囲の喧騒に反応しすぎず――
自分の中にある“教え”や“軸”に喜びを見出すことができたとき、
人は真にぶれず、穏やかで、深く集中した人生を歩める。
この偈は、現代において「ブレずに静かに生きるための鍵」となる教えを与えてくれます。
コメント