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善は心に安らぎを育み、天にも届く


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■引用原文(日本語訳)

三八
善いことをしたならば、ひとは快く楽しむ。
ずっと昔にしたことであっても、遠いところでしたことであっても、ひとは快く楽しむ。
人に知られずにしたことであっても、ひとは快く楽しむ。
幸あるところ(=天の世界)におもむいて、さらに快く楽しむ。
―『ダンマパダ』より


■逐語訳

  • 善いことをしたならば、ひとは快く楽しむ:善行をなした者は、深い内的な喜びと充足を得る。
  • 昔・遠く・知られずとも:その善行がどれほど前で、場所がどこであれ、他人の知識とは関係なく、自分の内面で喜びを味わう。
  • 幸あるところに赴いて、さらに楽しむ:善の報いは死後の幸福な生(天界など)を導き、さらなる快をもたらす。

■用語解説

  • 快く楽しむ(sukhaṁ vindati):仏教における「快」は、欲望的な享楽とは異なり、精神の安定・安心・清らかさから生まれる穏やかな喜び。
  • 善いこと(善業):他者を害さず、自他ともに福をもたらす心・言葉・行動の三業。
  • 幸あるところ(天界):善行によって転生する、神々の住む楽しい領域。心理的にも「安心感」や「報われた感覚」を象徴。

■全体の現代語訳(まとめ)

善いことを行った人は、それがどれほど昔であろうと、
どこで起こったことであろうと、たとえ誰にも知られていなくても、
その記憶を思い出すたびに、心の奥底から喜びを感じ、安らぎを得る。
さらに、その善行は、死後の幸福な世界への生を導き、
そこでさらに大きな喜びと安楽を味わうこととなる。


■解釈と現代的意義

この偈は、**「善は持続する喜びを生み出す」**という仏教的価値観を端的に表しています。
単なる一時の満足ではなく、時間・空間・他者の評価を超えて、
自分自身の中に深く根づく喜びとなるのが善行の本質です。
また、この教えは、見返りを求めない善意がもたらす
「心の自由」や「生の充足感」にも通じており、
真の幸福とは外的な成果ではなく、善なる内的態度から生じることを示しています。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点応用例
利益を超えた充足売上や数字では測れない「誰かのためになれた」実感が、働く意味やモチベーションにつながる。
内発的モチベーション上司の評価や賞与がなくとも、誠実に働くこと自体が内的な満足感をもたらす。
組織文化誰かに見られていない場面でこそ善を行う人が多い組織は、健全で信頼が積み上がる文化を持つ。
長期的幸福の形成善行は目先の利益ではなく、心の平穏と将来への安心感というかたちで人生全体に好影響を与える。

■心得まとめ

「静かなる善は、時を越えて心を潤す」
あなたが誰にも知られずにした小さな善。
それは、今のあなたを静かに癒し、
やがて、来世においても大きな果報をもたらす。
善行は消えない。
むしろ、時間とともに深まる喜びとなって、
あなたの人生を満たしていく。
だからこそ、誰かに見られていなくても、
善きことを惜しまず行おう。
それが、心を照らす灯火となるのだから。

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