多くは岸辺を歩み、少数のみが彼岸へ至る

2025年6月26日

📜 原文（第三三節）

人々は多いが、
彼岸に達する人々は少ない。
他の（多くの）人々は、
こなたの岸に沿ってさまよっているだけである。

用語	意味
人々	一般的な人間。執着や無明の中で生きる者たち。
彼岸（パーラ）	苦悩と迷妄から完全に離れた「解脱の境地」。「涅槃」に相当。
こなたの岸（イマーパラ）	現実世界＝苦の世界、執着・煩悩に満ちた日常的な在り方。
さまよう（さ迷う）	明確な方向性やゴールなく、表面的な活動や満足に終始する状態。

この節は極めて簡潔ですが、深い現実認識を含みます。

「人々は多いが」 という客観的な視点は、数の論理ではなく「質の違い」を前提にしています。
「彼岸に達する人々は少ない」 という断定は、努力すれば誰でも到達できるわけではなく、真の目覚めには厳しい選択と修行が必要であるという現実を示しています。
**「こなたの岸に沿ってさまよっている」**という表現は、行動しているように見えても、本質的には進んでいない状態を指しています。

つまり、これは「多忙なだけの人生」と「本質的な覚醒に至る人生」の**峻別（しゅんべつ）**です。

観点	ビジネスへの示唆
戦略的成長	多くの人が日々「業務」に追われているが、そこに「目的」と「自己変革」がなければ、永遠に“こなたの岸”を歩くだけ。
選ばれる人材	真にリーダーシップを持ち、思考の深さと目的の明確さを備える人は稀である。
キャリア観の差異	表面的な評価や収入に満足しているだけでは「さまよい」にすぎず、自らの存在意義に目覚めた者こそが“彼岸”に至る。
深い集中と覚悟	毎日のルーティンの中でも、「これは彼岸に近づいているか？」という問いを持ち続けることが、凡庸と非凡の分かれ道となる。

「すべての人が前進しているわけではない。
真に進む者は、少数にすぎない」

努力をしているように見えても、
目的なく歩き続けるだけでは、それは**“彼岸へ至る道”ではない。**

この節が教えるのは、
「数よりも深さ」「動きよりも方向」という人生哲学であり、
現代の喧騒の中で、“自分の道”を見極める覚醒者であるかどうかの問いです。

節番号	主題	特徴
第二五〜三二	無痕跡・空の境地	悟った者の生の在り方（理想）
第三三（本節）	少数者の到達	誰もがその境地に達するわけではない現実（選別）

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