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守られた心は、やがて涅槃に至る


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📜 引用原文(『ダンマパダ』第六〇偈)

心を制することは楽しい。汝らは心を守れ。怠るな。
心がよく守られているならば、或る生けるものどもは、やすらぎ(ニルヴァーナ)に達する。


🪶 逐語訳(意訳)

  • 心を抑えて調えることは、静かな喜びをもたらす。
  • おまえたちよ、心をよく見張って守れ。油断してはならぬ。
  • 心がよく守られたならば、
  • ある存在たちは、ついに**安寧(ニルヴァーナ)**の境地に達するのである。

📘 用語解説

用語解説
心(citta)感情・思考・意識の総体。煩悩の源でもあり、清浄の器でもある。
やすらぎ(ニルヴァーナ/nibbāna)涅槃とも訳され、輪廻を断ち、苦しみの完全な止滅に至った境地。仏教における究極のゴール。
守る(rakkhatha)心を対象化して観察し、欲望・怒り・無知などの汚染から遠ざけること。
怠るな(mā pamādo)精進・努力を怠るなという仏教の核心的警句。

🧾 全体の現代語訳(まとめ)

心を調えることは、それ自体が深い喜びである。
だからこそ、人はその心を油断なく守り、怠ってはならない。
そうしてよく整えられた心の持ち主は、
究極の安らぎ、涅槃(ニルヴァーナ)へと至るのである


🔍 解釈と現代的意義

この偈は、「心の訓練が人生にもたらす影響」の最終段階として、生死・苦悩の終わり=涅槃を示します。
『ダンマパダ』第三一章の流れを総括するものであり、「地獄」「畜生」「人間」「天界」といった輪廻の階梯を越えて、最終的には輪廻そのものから解放される可能性を語っています。

現代の私たちにとって、「ニルヴァーナ」とは何でしょうか?
それは、物質的執着・名誉欲・恐れや怒りといった内的葛藤から完全に自由になった心の自由・精神的成熟を象徴しているといえるでしょう。


💼 ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
心の安定が最上の成果ストレスや誘惑の多い環境でも、心を守ることで、他者に惑わされずに自分の軸で判断できる。
心を守る者はぶれないリーダーとなる内面の調和を持つ者は、変化や困難にも動じず、組織に安心感を与える存在になれる。
究極の目的とは、外的成功を越えた「心の自由」地位・財産に執着せず、自らの良心と価値観に基づいた行動ができる人こそ、最も安らかで満ち足りた生き方を実現する。
働く目的の再定義心の制御=自己の内なる成熟を人生と仕事の目的とすることで、短期成果ではなく長期の幸福を目指す。

💡 心得まとめ(結びのことば)

「心を守り続ける者は、やがて究極の静寂と自由に至る」
「涅槃とは、静けさと明るさが宿る成熟した心の在り方である」

ダンマパダ第三一章「心」の締めくくりにふさわしく、この第六〇偈は、
人間の精神的な進化の最終目的=完全なる安らぎを明示しています。

たとえビジネスの現場であっても、
「心をどう守るか」は「どう生きるか」「どう働くか」に直結します。
だからこそ、わたしたちは日々の実践の中で心を鍛え、調え、見守る必要があるのです。


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