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見る者となりて、真の自由に至る


■引用原文(日本語訳)

聖バガヴァットは告げた。
「このように、『土地』と『土地を知る者』との区別を、
また万物のプラクリティからの解脱を、
知識の眼によって知る人々は、
最高の存在に達する。」
(『バガヴァッド・ギーター』第13章 第34節)


■逐語訳

「土地(身体・物質世界)」と「土地を知る者(真我)」の違いを明確に見分け、
また、すべての存在が自然(プラクリティ)から生じ、
その自然から離れ、超えていることを“智慧の目”で理解する人は、
やがて**最高の実在(ブラフマン)**に至る。


■用語解説

用語意味
土地(クシェートラ)身体・思考・感情など変化しうる場。
土地を知る者(クシェートラジュナ)観照者としての自己(真我/アートマン)。
プラクリティ万物を構成する自然の力。三グナ(性質)からなる変化の源。
知識の眼(ジュニャーナ・チャクシュ)物理的な目ではなく、真理を見抜く智慧の視点。
最高の存在(パラム・ブーヴァム)ブラフマン。永遠・不変の実在。悟りの境地。

■全体の現代語訳(まとめ)

この世に存在するあらゆるもの(身体や世界)と、
それを「観ている存在(真我)」を明確に区別できる者は、
また、すべての現象が自然の作用によって生じていること、
そしてその自然を超えた本質があることを知る者は、
最終的に“最高の存在(ブラフマン)”と一体となる。
それが、智慧ある人が到達すべき真の自由である。


■解釈と現代的意義

この節は、第13章の総まとめであり、
「自己とは誰か」「何を知れば本当に自由になれるのか」に対する結論を示しています。
物質・思考・感情など変化する「場」と、
それらをただ観ている「観照者としての自己」を明確に分けて見られること。
そして、あらゆる変化(プラクリティ)を超えた“不変の真実”を識別できること――
これが、真の知識であり、解脱(自由)への道なのです。


■ビジネスにおける解釈と適用

視点解釈と応用例
自己理解と役割理解自分の“真の在り方”と“社会的役割”を分けて認識することで、責任感はありながらも過剰な同一化から自由になれる。
現象の背後を見る力日々の課題・問題は自然(プラクリティ)の一時的な現れと理解し、根本的な視点から対応できるようになる。
内的自由の獲得成果や周囲の評価に揺さぶられず、内なる静けさから行動できる人は、信頼と継続性のある働きをする。
ビジョンの統合表面的な現象ではなく「本質(パラマールタ)」に立脚する組織運営が、長期的視点と倫理性を持つ経営に繋がる。

■心得まとめ

「真に観る者は、自由に至る」

『バガヴァッド・ギーター』第13章は、私たちにこう語ります――
変化する身体や感情に惑わされず、それを観ている自己を知れ。
そして、自然の作用を超えて、変わらぬ本質に目覚めよ。
この識別こそが「知識の眼」であり、
それによって私たちは、束縛から自由へ、混乱から智慧へと至るのです。
ビジネスにおいても、内なる観照者の目を養うことが、ブレない判断力と成熟したリーダーシップを育みます。


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