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欲望を断ちて、道に至れ


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■引用原文(日本語訳)

第一一章 道の人
勇敢に流れを断て。諸の欲望をきっぱりと去れ。諸の欲望を捨てなければ、聖者は一体に達することができない。
—『ダンマパダ』第11章 冒頭


■逐語訳

  • 勇敢に流れを断て:力強く、流されるままの欲望の奔流をせき止めよ。
  • 諸の欲望をきっぱりと去れ:多様な欲望・執着・感官への欲求を完全に捨て去れ。
  • 欲望を捨てなければ、聖者は一体に達することができない:欲を断ち切らぬ限り、真理や解脱(ニッバーナ)の境地には至れない。

■用語解説

  • 流れ(ogha):煩悩・欲望・無明の象徴。人を迷妄の流転に巻き込む力。
  • 欲望(tanhā):渇愛。感官的快楽や所有への執着。
  • 一体に達する(ekattam upeti):「一つになる」「統一される」「解脱へ至る」こと。精神が分裂・迷妄から脱し、真理に一致する状態。

■全体の現代語訳(まとめ)

仏陀は「煩悩に流されるままでは真の解脱には至れない」と説く。勇気をもってこの“欲望の流れ”をせき止め、欲求を断ち切ることによってこそ、心は統一され、聖者の境地に達する。外の世界に惑わされず、内なる静けさを目指す姿勢が強く求められている。


■解釈と現代的意義

この教えは、現代においても極めて示唆的です。情報や誘惑があふれる社会の中で、次々と生まれる欲望の波に流されて生きていると、精神は常に分断され、焦燥や不満を生み続けます。そこで、意識的に「何を断つか」「何に流されないか」を選び取る勇気が求められるのです。それが「道を歩む者」の初めの一歩になります。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点現代ビジネスでの適用例
意思決定の潔さあれもこれもと欲しがるのではなく、「やらないこと」を明確にすることで、本当に進むべき道が見えてくる。
情報との付き合い方情報過多の時代において、自分にとって不要な情報・欲望の源を遮断する力が集中と成果をもたらす。
自己制御と成長昇進・報酬・承認といった外的欲求に執着するのではなく、「自らの道」を貫く内的な軸がリーダーには不可欠。
チームビルディングチームの迷走を防ぐには、「本当に大切なことは何か?」という問いを共有し、欲のブレを削ぎ落とす必要がある。

■心得まとめ

「断つ勇気が、真の道を拓く」

欲望に流されるままの生では、真理にも、成功にも、平穏にも至ることはない。断ち切ることでこそ見える道がある――それが仏陀の教えです。
現代のビジネスや生活においても、「選ばない勇気」「切り捨てる力」が、あなたを道へと導く羅針盤になるのです。


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