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矢に堪える象のごとく、誹りをも静かに耐える


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📜 原文(第二九章 二一)

「戦場の象が、弓から射られた矢にあたっても堪え忍ぶように、われはひとのそしりを忍ぼう。
多くの人は実に性質が悪いからである。」


🔍 逐語解釈と要点

  • 戦場の象:力と威厳を持ちながらも、戦いの矢を受け止め、退かぬ存在。仏教ではしばしば修行者の理想像の比喩。
  • 弓の矢にあたっても堪え忍ぶ:外的な攻撃・痛みを受けても、感情に流されず、揺るがぬ態度を保つ。
  • ひとのそしり:非難・中傷・悪口・噂。精神的な“言葉の矢”。
  • 多くの人は性質が悪い(ドゥッサーラ):嫉妬、怒り、無知などによって不正や中傷を好む人々が多いという現実認識。

🧠 解釈と現代的意義

この章句は、「人からの批判や誹りにどう向き合うべきか」という、普遍的で実践的なテーマに対する仏教的な処方箋です。

  • 正しい行いをしていても、中傷されることはある。
  • 世の中には、善意ではなく悪意から語る者も多くいる。
  • そうした人々に反応し、怒りや自己正当化に走るのではなく、
  • 象のように堂々と、そして静かに受け止める力=“堪忍”の精神が大切である。

現代のSNSや職場、家庭などにおいても、「無用な反応」や「感情的な反撃」が問題を複雑化させる場面は非常に多いです。
この節は、「言葉の矢に動じない力」を養うことが、精神的成熟の核心であることを教えてくれます。


💼 ビジネスにおける解釈と適用

観点応用例
リーダーシップ立場が上がるほど批判も増える。正しく批判を受け止め、過剰反応せずに耐える姿勢が信頼を育てる。
カスタマー対応感情的なクレームにも誠実に対応する。個人攻撃を受けても、人格でなく内容にフォーカスする姿勢が重要。
チーム間の摩擦噂や陰口にすぐ反応するのではなく、象のように沈黙し、行動で信頼を回復する方が効果的。
SNS時代の自己防衛誹謗中傷が飛び交う中でも、自分の価値は「反応」ではなく「態度と継続的な行動」で示すこと。

✅ 心得まとめ

「中傷は風、我が心は山。耐え、動じず、ただまっすぐに進む」

人は言葉の矢で傷つく生き物です。
けれど、象のように重く、ゆるがぬ心を持つ者は、その矢に打たれてもなお進む。
堪忍とは、怒りに抗する最大の力。
性質の悪い人が多いこの世において、反応ではなく沈黙と誠実な継続行動によって、自分の道を証明することが、真の力なのです。


この節は、自己統制・精神的強さ・人格の成熟において、実生活で最も試されやすい教えの一つです。

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