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■引用原文(日本語訳)
自らのプラクリティに依存して、
プラクリティの力により、
この無力なる一切の万物の群を繰り返し出現させる。
(『バガヴァッド・ギーター』第9章 第8節)
■逐語訳(一文ずつ訳す)
- 私(バガヴァーン)は、
- 自らのプラクリティ(根本原質・自然原理)に依拠し、
- その力(マーヤー・シャクティー)を通じて、
- 無力で依存的なあらゆる存在の群れ(万物)を、
- 繰り返しこの世に出現させる。
■用語解説
- プラクリティ(根本原質):宇宙のあらゆる現象の背後にある、神の持つ自然の働きの根源。
- 依存して(アダイヒタ):拠り所として。バガヴァーンは自身のプラクリティにより万物を顕現させる。
- 力(シャクティ):作用・エネルギー。プラクリティが働くときに現れる具体的な創造力。
- 無力なる万物の群(アヴィダヤーの生き物たち):自ら創造することも維持することもできず、神の法則のもとにある存在たち。
■全体の現代語訳(まとめ)
私は、自分自身の自然の原理(プラクリティ)に依拠して、
その力を働かせることによって、
無力で依存的なすべての生き物たちを、
繰り返しこの世界へと出現させる。
すべては私の意志と自然の力の働きの中にある。
■解釈と現代的意義
この節は、神が「直接手を下す」のではなく、「自然の法則(プラクリティ)」という仕組みを通じて世界を創造・維持していると説いています。
それは、神の偉大さを「仕組みを支える知性」として表すものです。つまり、「結果を生み出す仕組みづくり」こそが真の力であると示唆されており、これはビジネスや組織運営にも通じる知恵です。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
システムの力 | 組織の成功は、優れた人が一人で動くことではなく、全体を動かす仕組み(制度・文化・ルール)によって生まれる。 |
権限の委譲と仕組み化 | リーダーがすべてを直接管理するのではなく、自然に機能する「流れ」や「環境」を整えることが重要。 |
見えない力の活用 | 数値や指示で動かすのではなく、「場」や「気風」などの非言語的要素が大きな影響を持つ。 |
■心得まとめ
「真の創造は、自らの仕組みから自然に生まれる」
神は、自らの本質から生まれる仕組みによって、すべてを支え、創造し続ける。
それは、自分が直接操作せずとも、全体を動かす「流れ」を整える知性である。
現代のリーダーや経営者にとっても、「働かなくても働く仕組み」を築くことが、真の創造力である。
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