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怨みに染まらず、静かなる喜びを保つ


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■引用原文(日本語訳)

怨みをいだいている人々のあいだにあって怨むこと無く、われらは大いに楽しく生きよう。怨みをもっている人々のあいだにあって怨むこと無く、われらは暮していこう。
― 『ダンマパダ』 第十五章「楽しみ」 第197偈


■逐語訳

  • 怨みをいだいている人々のあいだにあって:怒りや憎しみに満ちた社会や人々の中に身を置きながらも、
  • 怨むこと無く:同じように怒ったり憎んだりせず、
  • われらは大いに楽しく生きよう:穏やかで安らかな心を持って、喜びと共に生きていこう。
  • 暮していこう:日々の生活をそのような心持ちで送っていこう。

■用語解説

  • 怨み(うらみ):他者への怒り・復讐心・憎悪。仏教では煩悩の一つで、精神的な平安を損なう根因。
  • 楽しみ(スッカ/喜び):物質的快楽ではなく、心の平安や慈しみに基づく穏やかな喜び。
  • 人々のあいだにあって:人間関係や社会の中、つまり現実の環境において。
  • 怨むこと無く:状況や他人に引きずられず、自らの心を保つこと。

■全体現代語訳(まとめ)

周囲に怒りや憎しみが溢れていたとしても、自分自身はそれに染まらず、穏やかに、楽しく、喜びをもって生きよう――それがこの偈の核心です。他人の感情や態度に自分の心を支配されるのではなく、自らの心の在り方を保ち続けることが、真の幸福への道であると説かれています。


■解釈と現代的意義

この偈は、現代社会の「怒りの連鎖」「批判文化」「対立の構造」に対する明確な処方箋です。SNS、職場、家庭など、あらゆる場において他人の否定的な感情や言葉が飛び交う中、自らも同じように反応してしまうと、その輪の中に巻き込まれてしまいます。

ブッダは「怒りに怒りで返すのではなく、怒りの中にあっても穏やかであれ」と教えているのです。これは「逃避」ではなく、「心の強さ」であり、「真の自由」です。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点解釈・応用例
対人関係トラブルや非難が飛び交う会議や対話の中でも、冷静に対応することが、信頼を生む。
組織の空気づくりネガティブな雰囲気が蔓延しているとき、リーダーが怒らず、安定した態度を保つことが、職場全体の雰囲気を変える鍵となる。
クレーム対応怒りに対して怒りで返すのではなく、理解と敬意をもって接することで、事態を沈静化させ、信頼に変えることができる。
セルフマネジメント周囲の感情に流されず、自分の感情を客観的に観察し、穏やかな状態を保つことで、冷静な判断と持続的パフォーマンスが可能になる。

■心得まとめ(ビジネス視点)

「怒りに染まらず、穏やかに進む者が、最終的に勝利する」

混乱した社会や職場の中で、他人の怒りや攻撃に同調することなく、落ち着きと喜びを保って生きることは、真のプロフェッショナリズムの証です。怒りを持たないことは弱さではなく、最高の強さであり、調和を生む最良の戦略なのです。

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