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静かなる達成――心清らかにして為すべきを成す


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■引用原文(日本語訳)

静かに思い、塵垢なく、おちついて、為すべきことをなしとげ、
煩悩を去り、最高の目的を達した人――彼を私は〈バラモン〉と呼ぶ。

(『ダンマパダ』第386偈|第二六章「バラモン」)


■逐語訳

  • Pasantacittaṃ:心静かなる者
  • Samathaṃ anuddhataṃ:鎮まった者、高ぶることのない者
  • Nimmalaṃ:汚れなき者(塵垢なき者)
  • Vippasannaṃ:清明で落ち着いた者
  • Kāmāni jahe:欲望を棄てた者
  • Anupādiyāno:執着なく
  • Tam ahaṃ brūmi brāhmaṇaṃ:彼を私はバラモンと呼ぶ

■用語解説

  • 静かな心(Pasantacitta):外的状況に動じず、内面が平穏である心の状態。
  • 塵垢(Nimmala):煩悩や我執といった心を曇らせる要素。
  • 為すべきこと(Kicca):本分・義務・修行の実践。個人にとって果たすべき行為。
  • 煩悩を去る(Kāmāni jahe):欲望の放棄。五欲を離れること。
  • 最高の目的(Brahma-cariya):涅槃=心の完全なる解放を目指す生き方。出家・在家問わず仏道修行に生きる道。

■全体の現代語訳(まとめ)

真のバラモンとは、内なる心が静まり、塵や垢のような煩悩を払い落とし、落ち着いて本来なすべきこと(修行や務め)を完遂した者のことをいう。欲望を断ち、執着を離れ、最も高い目的(真理)に達した者が、ここで語られる理想の人物像である。


■解釈と現代的意義

この偈文は、精神的完成の道を非常に具体的に説いています。それは「静けさ」「清らかさ」「実行力」「離欲」「目的の達成」という5つの要素で表されます。現代でも、これらは人格的成熟の条件として通用します。心が乱れていては正しい判断はできず、欲望に支配されていては真の成功は得られません。真の強さとは、外ではなく内を整える力なのです。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
感情の静けさイライラや不安に支配されず、冷静に物事を判断できるリーダーは信頼される。
精神的清潔さ利己的な思惑や私利私欲から離れ、透明性を持って行動する人は、周囲の信頼を集める。
実行力と完遂頭で考えるだけでなく、「為すべきことを実行する」姿勢が成果を生み出す。
執着なき達成評価や報酬に囚われず、ミッション達成そのものに意義を見出す姿勢が長期的成功につながる。

■心得まとめ

「静けさと清らかさが、真の完成へと導く」
バラモンとは、静かに澄んだ心で、自らの本分を果たし、煩悩から自由になった者。
現代に生きる私たちにとっても、怒り・欲望・焦燥から離れ、自分のやるべきことに静かに集中する姿勢が、もっとも強く、もっとも美しい生き方となる。
その生き方が、個人の成熟だけでなく、チームや社会全体の調和をもたらす鍵となるのです。


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