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心と体を清め、神聖な場に臨む

── 敬う心は、日常の中の静かな変化にあらわれる

孔子は、祭礼などに臨む際、必ず斎戒沐浴(ものいみ)を行い、慎ましく自身を整えた。
その際には、特別な「明衣(めいい)」と呼ばれる清らかな麻布の衣を身につけ、日常の服とは異なる清浄な姿で過ごした。
食事においても、ネギやニラのようなにおいの強い食材を避け、献身と集中を妨げない内容に切り替えた。

また、休息するときでさえも、普段の場所から座る位置を移し、心を清めるための空間を別に設けていたという。
孔子にとって、斎戒は単なる形式ではなく、自らの在り方を整える静かな儀式であり、外のためでなく、内なる敬意の表現だった。


原文とふりがな付き引用

「斉(さい)するには必(かなら)ず明衣(めいい)有(あ)り、布(ふ)をもってす。斉するには必ず食(しょく)を変(か)ず。居(い)には必ず坐(ざ)を遷(うつ)す。」


注釈

  • 斉(さい):ものいみ。祭事に際して心身を清める準備期間。自らを慎み、俗から離れる行為。
  • 明衣(めいい):清浄で汚れのない白い衣。心身の潔白を象徴する。
  • 食を変ず:食事内容を慎み、香味の強いものや肉などを避ける。精神の集中と浄化のため。
  • 坐を遷す:座る場所を変える。日常とは異なる空間で過ごし、内面の切り替えを意識するための行為。
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