古典の詩経には、三百篇におよぶ詩が収められている。
だがその本質は、たったひと言に集約される――「思いに邪(よこしま)なし」。
言葉や行動にどれほど巧妙さや技巧があっても、そこに私利私欲や打算があれば、心はすでに曇っている。
まっすぐな心で物事に向き合い、純粋な志をもって行動すること。それこそが人として最も大切なあり方である。
「詩(し)は三百(さんびゃく)、一言(いちげん)にして以(もっ)て之(これ)を蔽(おお)えば、曰(いわ)く、思(おも)い邪(よこしま)無し」
どれだけの言葉よりも、どれだけの知識よりも、まっすぐな思いが人を動かす。
※注:
- 「詩三百」…古典『詩経』に収められた約305の詩を指す。
- 「蔽う(おおう)」…要約する、全体を一言で言い表すこと。
- 「思無邪(しむじゃ)」…思いに邪念がない。純粋な心で物事に向き合うこと。
- 幕末の名君・島津斉彬がこの言葉を信条としたことでも知られる。
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