「仕入」とは、簿記や会計において、商品や原材料を購入する取引を指し、その取引を記録するための勘定科目でもあります。商業簿記では特に重要な概念であり、売上とともに利益計算に直結する要素です。この記事では、「仕入」の基本的な意味や仕訳例、実務での注意点について詳しく解説します。
仕入とは?
仕入とは、商品や原材料を購入する行為やその費用を指します。この費用は、最終的に売上原価として計上され、企業の利益計算に影響を与えます。
- 商業簿記の場合
仕入は、販売目的で購入した商品に関する取引です。たとえば、小売業が商品を仕入れる場合。 - 工業簿記の場合
原材料や部品を購入する取引も含まれます。製造業では、生産のための材料が仕入に該当します。
仕入勘定科目の分類
- 費用勘定
仕入は、会計上の費用として扱われます。
- 例: 商品を購入した際に「仕入」勘定に記録。
- 売上原価の一部
期末に「棚卸」として在庫を調整し、売上原価を算出します。
仕入に関する基本的な仕訳
仕入に関する取引は、次のような形で仕訳されます。
1. 商品を現金で仕入れた場合
例: 100,000円の商品を現金で仕入れた場合
借方: 仕入 100,000円
貸方: 現金 100,000円
2. 商品を掛けで仕入れた場合
例: 200,000円の商品を掛けで仕入れた場合
借方: 仕入 200,000円
貸方: 買掛金 200,000円
3. 仕入返品が発生した場合
仕入れた商品を返品すると、「仕入」勘定を減少させます。
例: 50,000円分の商品を返品した場合
借方: 買掛金 50,000円
貸方: 仕入 50,000円
4. 仕入諸掛(運賃や手数料)が発生した場合
商品の仕入れに伴い、運賃や手数料が発生した場合は、それらも「仕入」勘定に含めます。
例: 仕入商品の運賃5,000円を現金で支払った場合
借方: 仕入 5,000円
貸方: 現金 5,000円
仕入に関する決算時の処理
決算時には、仕入勘定の内容を調整して売上原価を算出します。
1. 期末商品の棚卸し
仕入勘定に記録された金額は、すべて販売されたものではなく、期末に在庫として残る商品も含まれています。したがって、棚卸を行い、在庫分を「商品」勘定として計上します。
- 期末在庫が50,000円の場合の仕訳例
借方: 商品 50,000円
貸方: 仕入 50,000円
2. 売上原価の算出
仕入勘定には、以下の項目を含めて売上原価を算出します。
- 期首在庫(前期繰越分)
- 当期仕入
- 期末在庫の調整
売上原価の計算式:
[
売上原価 = 期首在庫 + 当期仕入 – 期末在庫
]
仕入に関する注意点
1. 諸掛費用の扱い
商品の運賃や保険料などの費用は、「仕入」勘定に含めることで売上原価の計算が正確になります。これを見落とすと、利益計算に誤差が生じる可能性があります。
2. 在庫管理との連動
仕入と在庫の管理は密接に関連しています。適切な棚卸を行い、在庫金額が正確であることを確認しましょう。
3. 返品の処理
仕入返品が発生した場合、返品金額を正確に計上することで、仕入勘定が過大に計上されることを防ぎます。
仕入と他の勘定科目との関連
仕入は、以下の勘定科目と密接に関連します。
- 売上: 仕入た商品を販売した際に対応する勘定科目。
- 買掛金: 商品を掛けで購入した場合に発生する負債。
- 商品: 決算時に在庫として計上される資産勘定。
- 諸掛費用: 仕入に付随する運賃や手数料など。
まとめ
「仕入」は、商品売買における取引の基礎となる勘定科目です。仕入勘定の正確な記録と期末の棚卸調整を行うことで、適切な売上原価を算出し、利益計算を正確に行うことができます。
簿記や会計実務では、仕入の仕訳を正確に行うことが重要です。基礎をしっかり押さえ、売上や利益計算に役立てましょう!
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