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プロジェクト・チームで推進する

A社は食品チェーンを展開する企業だ。社長のA氏から、「新商品を導入したいが、これまで何度も新商品を試したものの、成功した例が少ない。どのように販売すればうまくいくのか」という相談が寄せられた。

新商品が何かを尋ねたところ、それはクロレラだという。商品自体には十分な競争力があり、さらに継続して服用される可能性が高い商品であるため、その点については問題ないと判断できる。

次に、これまでの新商品の販売方法を尋ねたところ、各営業所にいきなり売らせる形を取っていたという。この手法では成功するはずがない。各営業所にはすでに売上目標が課されており、その中に新商品を無理に押し込めばどうなるかは明白だ。既存の商品を売るほうが目標達成には効率的と考え、新商品は後回しにされるだろう。

新商品というものは、最初から簡単に売れるものではない。販売に多くの時間を割いたとしても、初期の売上はごくわずかにとどまるのが現実だ。セールスマンにとっては、そんな低い成果のために時間を費やすことは、日々の目標達成を妨げると感じるだろう。それよりも、実績のある従来の商品を売る方が、効率的に目標をクリアできると考えるのは当然だ。

誰も新商品を本気で売ろうとしないのは、ノルマが課せられている以上当然の結果だ。社員にとっては、会社の新商品よりも、自分の部門の売上を優先するのが現実的な選択となる。我が社の将来を考えて、自らのノルマを犠牲にしてまで新商品に力を注ぐ社員など、まず存在しない。

こうした理由を説明した上で、提案したのは次のような方針だ。「新商品の販売専用のプロジェクトチームを編成し、クロレラの販売に特化させることが重要だ。このチームにはクロレラ以外の商品を扱わせず、完全に専念できる体制を整える。そして、このプロジェクトチームは必ず社長直轄とし、組織全体の優先事項として扱うべきだ」と。

まずは特定の営業所を選び、営業所長と詳細に打ち合わせを行ったうえで、その営業所の担当地域内を一軒残らず訪問することを徹底する。プロジェクトチームの人件費や経費はすべて本社が負担し、営業所に一切の負担をかけないようにすることが重要だ。営業所側に負担を押し付けるような体制では、プロジェクトの本来の目的を達成することは難しい。

経費や人件費を営業所に持たせれば、営業所長からの反発を招くのは避けられない。しかし、売上は営業所の成績として計上することで、営業所長は安心してプロジェクトチームと協力できるようになる。売上が安定して軌道に乗った段階で、販売業務を営業所に移管し、プロジェクトチームは次の営業所で同様の活動を行う。この方法を提案した結果、クロレラの販売は見事に成功し、最終的にはA社の主要商品の一つに成長した。

先に述べたように、未来事業は現事業から分離すべきだという考え方は、開発活動だけでなく、新規商品の販売にも当てはまる。新規商品が軌道に乗るまでは、これを未来事業として位置付け、現事業とは明確に切り離して運営する必要がある。この期間中は、投入する資源に比べて収益が少なくなるのは避けられない。しかし、こうした取り組みを怠れば、新規商品の販売を成功に導くことはできない。初めから販売効果だけを重視する姿勢では、新規商品の販売は失敗するという点を肝に銘じるべきだ。

新商品を成功させるためには、既存の業務に組み込むのではなく、独立したプロジェクト・チームとして推進することが重要です。この方法では、新商品が軌道に乗るまでの間、特化したチームがその商品に集中し、効果的に売上を伸ばすことが可能になります。

プロジェクト・チーム推進のポイント

  1. 新商品専用のチームを編成
  • 通常の営業ノルマや他の商品を扱わない、新商品専用のチームを編成します。これにより、チームは既存の業務目標に左右されることなく、新商品に専念できる体制が整います。
  1. 社長直轄の体制
  • チームは社長直轄のプロジェクトとして設置します。これにより、社内でも特別な位置づけとなり、明確なリーダーシップのもとで活動を進められます。
  1. 地域ごとの集中訪問
  • 一つの営業所からスタートし、その営業所の担当地域内の顧客を一軒残らず訪問して、新商品を徹底的に売り込む。この地道な活動により、地域での認知度を高め、口コミなどでの拡大も期待できます。
  1. 本社の経費負担
  • チームの活動にかかる人件費や経費は全て本社が負担し、営業所には負担をかけない。これにより、営業所長や他の営業スタッフの反発を避け、安心してプロジェクト・チームと協力できる体制を整えます。
  1. 軌道に乗った後の営業所移管
  • 売上が安定して伸び、商品が一定の認知を得たら、そのエリアの販売を営業所に移管し、次のエリアでプロジェクト・チームが同様の活動を繰り返す。

このように、プロジェクト・チームを活用した独立体制での推進により、新商品を着実に市場に浸透させることができます。

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