利益試算で見える経営の未来
利益計画を立てたら、次に重要なのは具体的な条件を設定し、それに基づいて試算を行うことです。このプロセスを通じて、利益創出のシナリオを明確にイメージできます。
例えば、売上高や粗利益率に変動があった場合の影響を試算することで、経営にとってどのような結果をもたらすのかを可視化できます。以下は、その一例です。
ケーススタディ:利益計画に基づく試算結果
- 売上高が目標比10%増加(試算1)
この場合、経常利益は目標比で50%増加します。売上高の伸びが経常利益へ与えるインパクトは予想以上に大きいことが分かります。 - 売上高が目標比10%減少(試算2)
売上高が目標を10%下回ると、経常利益は50%減少します。売上減少が経営に与える影響の大きさが浮き彫りになります。 - 粗利益率が目標比10%上昇(試算3)
売上高が目標通りの場合でも、粗利益率が10%上がると経常利益は2倍になります。この結果は、売上原価の削減が利益改善に直結することを示しています。 - 粗利益率が目標比10%下降(試算4)
逆に、粗利益率が10%下がると経常利益はゼロに。これは、売上原価の高騰が大きな影響を及ぼすことを意味します。
これらの試算から分かるように、売上高や粗利益率の変動は、経常利益に予想以上のインパクトを与えます。
無限の可能性を持つ試算
試算のパターンは無限に存在します。売上高が目標を超え、さらに粗利益率も上昇する場合や、その逆のシナリオなど、さまざまな条件を想定することで、経営のリスクとチャンスを事前に把握できます。あなたの会社用を作成してみて確認しましょう。
古田土会計の「決算前検討会」の取り組み
多くの経営者や幹部の方々は、売上高が10%増えても経常利益が同じく10%しか増えないと誤解しています。また、経常利益がゼロの会社では、売上が増加しても利益に影響を与えないと思い込むケースも少なくありません。
そこで、古田土会計では決算月の1カ月前に「決算前検討会」を開催し、利益計画検討表をお客様とともに作成しています。この取り組みにより、多くの経営者が以下のような発見をしています。
- 売上数量や顧客単価、仕入単価の変化が粗利益にどれほど影響を与えるかを実感。
- 粗利益の変化が、経常利益に数倍もの影響を及ぼすことを認識。
試算は単なる数字の確認にとどまらず、経営判断に必要な洞察を得るための強力なツールです。次のステップでは、あなたの会社専用の試算を作成し、未来の経営を見据えた行動を計画してみましょう。
■試算により利益創出のイメージをつくる
出来上がった利益計画を、ある条件を設定して、試算することが大事です。
次ページの検討表は、売上高目標に対して10%アップ(試算1)、10%ダウン(試算2)、粗利益率が10%アップ(試算3)、10%ダウン(試算4)の4ケースで試算しています。
結果はそれぞれ以下の通りになります。
試算1では、売上高が目標より10%多いと、経常利益では目標より50%多くなります。
試算2では、売上高が目標より10%足りないと、経常利益では目標より50%少なくなります。
試算3では、売上高が目標通りで粗利益率が10%高い時、経常利益は2倍になります。この場合は、売上原価が下がることを意味します。
試算4では、売上高が目標通りで粗利益率が10%低い時、経常利益はゼロになります。この場合も売上原価の高騰によることが主の原因です。
売上高と粗利益率の増減が、経常利益段階では、思ったより大幅な増減になってしまうことが、おわかりになると思います。
試算は無限大です。
例えば、売上高が目標より多く、粗利益率も高い場合もありますし、その逆の場合などです。
多くの経営者、幹部は、売上高が10%増えても経常利益は10%しか増えないと思っています。
経常利益ゼロの会社では売上が増えても経常利益には関係ないと思っている人もいます。
そのような経営者、幹部のために古田土会計では決算前検討会を決算月1カ月前に行い、利益計画検討表を手書きでお客様と作成します。
多くのお客様は、売上数量やお客様単価、仕入単価の変化がこんなにも粗利益の増減に影響するのかと、自分の手で計算して初めて知り、びっくりされます。
さらに経常利益はその数倍変化するのを知ってもっと驚かれます。
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