経営において利益を増やす手段は、大きく分けて以下の4つに集約されます。この基本を押さえることが、持続可能な成長への第一歩です。
方法1: 売上を増やす(顧客数や販売量を拡大する)
売上を増やすことは、最も直接的な利益拡大の方法です。
特に、販売単価(P)を変えずに販売数量(Q)を増やすことが現実的な戦略となります。
具体例
現在、売上高が100、粗利益率が50%、固定費が40の場合、売上高を10%増やすと以下のように変化します:
- 売上高: 100 × 1.1 = 110
- 粗利益: 110 × 0.5 = 55
- 経常利益: 55 − 40 = 15
顧客数を増やす、商品ラインナップを拡充するなどの手段を通じて、売上を伸ばす取り組みが必要です。
方法2: 粗利益率を上げる(販売単価を上げる)
粗利益率を高めることは、売上に対する利益額を増やす効果があります。付加価値の高い商品やサービスを提供し、販売単価を引き上げるのがポイントです。
また、粗利益率が高い商品を積極的に販売するのも有効です。
注意点
粗利益率が低い業種ほど、粗利益率の変動が利益に大きな影響を与えます。
例えば、粗利益率が50%の企業で10%の減少が発生した場合、利益額は20%減少します。一方、粗利益率が25%の企業で同じ10%の減少が起これば、利益額は40%も減少します。
方法3: 売上原価を下げる(変動費を削減する)
変動費を削減すれば、粗利益率が上がり、利益額が増加します。この方法は、売上高を維持したまま利益を増やす効果が高いです。
具体例
粗利益率が50%で売上原価を10%削減すると、以下のように変化します:
- 粗利益率: 50% → 60%
- 粗利益額: 100 × 0.6 = 60
- 経常利益: 60 − 40 = 20
削減の具体策
- 外注作業を自社で内製化する
- 仕入単価や外注費を交渉する
- 仕入先を絞り込みコストを抑える
- 技術力を向上させ生産効率を高める
入札制度の導入や仕入過多の見直しも効果的です。
方法4: 固定費を削減する
固定費の見直しも利益拡大の重要な手段ですが、現実には慎重な判断が求められます。固定費には以下の項目が含まれます。
- 人件費: 給与や役員報酬
- 未来費用: 研究開発費や広告費
- 一般経費: 通常の運営費用
- 減価償却費: 資産の償却費
- 営業外損益: 本業外の損益
具体策と課題
人件費の見直し: 「役員報酬 → 賞与 → 給与 → 従業員数」の順で削減を検討。ただし、人件費削減は慎重を要し、社員の幸福を優先すべきです。
未来費用の削減: 過度な削減は企業の成長を妨げるリスクがあります。
一般経費の削減: 微々たる効果に留まることが多いですが、無駄を省く意識が重要です。ただ削れる額があまり大きくありません。
コストカット病になると内部管理に走ってしまいます。
結論: 4つの指標を活用して利益を最大化する
売上拡大、粗利益率向上、変動費削減、固定費削減のいずれの方法を選ぶにしても、根拠となる数字を把握し、計画的に進めることが肝心です。
利益向上のための選択肢を正確に評価し、最適なバランスを見つけることで、持続的な経営改善が可能になります。
- 業績は社長の戦略と全社員の戦術で決まります。
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