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加工業の価格政策:B社とE電化の事例

加工業の価格政策:B社とE電化の事例


価格政策の決断とその影響

B社のケースは、下請け加工業でも価格政策がいかに重要であるかを示す好例だ。同社は、採算が取れない製品の受注を断るという果断な決断を下した。この判断は短期的にはリスクを伴い、主要取引先三社のうち一社との関係が完全に断たれる事態を招いたが、その結果、以下のような好転が見られた。

  1. 理解を示した取引先の増加
     ある取引先はB社の事情を理解し、採算が取れる単価での発注量を増やした。
  2. 妥協しない姿勢への評価
     別の取引先は一度案件を引き受けたものの、代替の下請け工場を見つけられず、最終的にはB社の提示する単価を受け入れる形となった。
  3. 新規顧客開拓の成功
     中堅企業への営業を強化し、短期間で半年先までの受注の見通しを立てる成果を上げた。

価格政策の基本原則

価格政策を成功させるには、以下の基本原則を徹底する必要がある:

  1. 必要な賃率の明確化
     単位時間あたりの加工高(賃率)を計算し、それを達成するための最低価格を設定する。
  2. 営業方針の明確化
     自社の基準を貫きつつ、新規顧客開拓や条件交渉を推進する。
  3. 取引先の選別
     採算が取れない案件や信頼できない取引先は勇気を持って手放す。
  4. トップの揺るぎない決意
     社長が明確な方針を示し、全社を挙げてそれを推進する。

B社の再生と成功の教訓

B社の成功の背景には、以下の要因がある:

  1. 果断な決断
     採算が取れない案件を手放し、取引先を選別した。
  2. 営業活動の強化
     既存の大企業系列の中堅企業をターゲットとし、会長の人脈を活用することで、新たな顧客基盤を築いた。
  3. 資金繰りの改善
     銀行との交渉で資金の余裕を確保し、経営に集中できる環境を整えた。
  4. トップのリーダーシップ
     明確な価格政策の下、社員全員が目標に向かって行動した。

これらの取り組みにより、B社は危機を乗り越え、短期間で好転を実現した。


自主性を貫くE電化の方針

E電化の事例は、明確な価格政策を持つことで下請け加工業が自主性を発揮できることを示している。

  1. 最低価格の設定
     得意先の規模や発注量、支払条件に基づき、案件ごとに最低価格を設定。この基準を下回る案件は毅然として断る。
  2. 技術力による交渉力
     同社の優れた技術力が、取引先からの過剰な値下げ要求を抑制する要因となっている。
  3. 選択と集中
     受注案件を選別することで、利益率の高い案件にリソースを集中させている。

E電化のような取り組みがすべての加工業に適用できるわけではないが、明確な方針とそれを貫く姿勢は、どの状況においても学ぶべきポイントである。


成功の鍵:トップの決意と行動

加工業の価格政策の成否は、最終的には社長の姿勢にかかっている。以下の点が重要だ:

  1. 依存からの脱却
     親会社の要求に従うだけでなく、自社の方針を持ち、それを実行する。
  2. 明確な価格基準の設定
     採算を確保するための基準を明確にし、交渉の指針とする。
  3. 特色ある取り組み
     優れた技術や独自性を磨き、取引先にとって不可欠な存在になる。
  4. リーダーシップの発揮
     価格政策を貫くためには、トップが揺るぎない信念を持ち、組織全体を牽引することが不可欠である。

結論:価格政策の実行で経営を好転させる

B社とE電化の事例は、下請け加工業であっても価格政策を持ち、それを実行することが可能であることを示している。

特にB社は、採算が取れない案件を断るという一見リスクの高い決断を下したが、その結果、顧客基盤の質を高め、新たな受注の獲得に成功した。E電化は、技術力と明確な価格基準に基づく営業方針を貫くことで、自社の地位を確立している。

加工業が成功するためには、「賃率」の計算を出発点とし、それを実現するための具体的な方針を立てる必要がある。自らの行動に責任を持ち、明確な指針を持って動くことで、不況下でも成功の道を切り開くことができる。価格政策を実行する勇気と決断が、事業を好転させる鍵となるのだ。

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