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私的には控えめに、公では明確に発言する

── 状況に応じた態度が、人としての信頼を生む

孔子は、自らの身近な場所や日常生活では控えめで、おとなしい人物のように振る舞った。
だが、宗廟での祭祀や国家的な公務の場では、すらすらと淀みなく、しかも慎み深く話したという。
それは、私的な場と公的な場の違いをわきまえ、場にふさわしい態度を選び取っていた証である。
必要なときに、必要なことを、適切に伝える――そこに成熟した人物の姿が見える。


原文とふりがな付き引用

「孔子(こうし)、郷党(きょうとう)に於(お)いては、恂恂如(じゅんじゅんじょ)たり。言(い)う能(あた)わざる者に似(に)たり。其(そ)の宗廟(そうびょう)、朝廷(ちょうてい)に在(あ)るや、便便(べんべん)として言(い)う。唯(ただ)だ謹(つつし)しむのみ。」


注釈

  • 恂恂如(じゅんじゅんじょ):控えめでおとなしい様子。「如」は状態を表す語。
  • 郷党(きょうとう):自分の郷里、私的な生活圏のこと。
  • 宗廟(そうびょう):祖先を祀る国家的な場。儀式・祭祀の空間。
  • 朝廷(ちょうてい):政治が行われる公的な場。
  • 便便として言う:流れるように明快に話すこと。
  • 謹しむ:慎みを忘れず、分をわきまえた態度を取ること。
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