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身分を越えて守るべきは礼

―『貞観政要』巻一より

🧭 心得

たとえ皇帝の娘であっても、嫁いだ先ではその家の礼に従うべきである。
王珪は、「礼」に基づいて公主(皇女)に義父母への挨拶をさせ、私的な栄誉のためではなく、国家の礼節を体現することを重んじた。
その姿勢は太宗に称賛され、以後、公主が嫁ぐすべての家でこの儀式が実施されるようになった。
身分や格式を超えて、礼儀の本旨を尊重することが、真の徳と教えにつながる。

🏛 出典と原文

禮部尚書(れいぶしょうしょ)王珪(おうけい)の子(こ)敬直(けいちょく)、太宗(たいそう)の女(むすめ)南平公主(なんぺいこうしゅ)を娶(めと)る。
珪(けい)曰(いわ)く、「『禮(れい)』に舅姑(きゅうこ)を見(けん)するの儀(ぎ)有(あ)り。自(より)代(だい)を経(ふ)るごとに風俗(ふうぞく)廃(すた)れ、公主(こうしゅ)出降(しゅっこう)するも、此(こ)の禮(れい)皆(みな)廃(はい)す。主上(しゅじょう)欽明(きんめい)にして、動(どう)くごとに法制(ほうせい)に循(したが)う。我(われ)公主の謁見(えっけん)を受(う)くは、豈(あ)に身(み)の榮(えい)を為(な)すに非(あら)ず。蓋(けだ)し国家(こっか)の美(び)を行(おこな)わんとするのみ」。

乃(すなわ)ち其(そ)の妻(つま)と位(くらい)に就(つ)きて坐(ざ)し、公主(こうしゅ)に令(れい)して親(みずか)ら巾(きん)を執(と)り、盥(あら)って之(これ)に饋(おく)り、禮(れい)畢(お)わって退(しりぞ)く。
太宗(たいそう)聞(き)きて而(しこう)して善(ぜん)と称(しょう)す。是(こ)れより後(のち)、公主下降(こうしゅかこう)して舅姑有(あ)る者(もの)、皆(みな)此(こ)の禮(れい)を備(そな)えて行(おこな)う。

🗣 現代語訳(要約)

王珪は、公主を迎えるにあたり「礼記」に従って舅姑への挨拶の礼を復活させ、自ら妻とともに儀礼を受けた。太宗はその行いを称賛し、それ以降すべての公主に同様の礼儀を行わせた。

📘 注釈

  • 公主(こうしゅ):皇女。皇帝の娘の敬称。
  • 舅姑(きゅうこ):夫の父母、義父母のこと。
  • 出降(しゅっこう):皇室の女性が民間に嫁ぐこと。
  • 巾を執り盥に饋る(きんをとりあらってくいる):手ぬぐいを持って手を洗わせ、食事をすすめる。孝敬と礼儀の象徴的な行為。

🔗 パーマリンク案(英語スラッグ)

  • princess-must-bow(主スラッグ)
  • 補足案:no-exception-to-etiquette / filial-rites-first / honor-through-humility
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