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高慢を防ぐは、整えた心の力なり


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📜 引用原文(出典:『ダンマパダ』第3章 第20偈)

屋根をよく葺いてある家には雨の洩れ入ることが無いように、
心をよく修養してあるならば、高慢が心に侵入することが無い。

(パーリ語原典:
Sārāṃ bhavitaṃ gehaṃ vuṭṭhī na samativijjhati,
Tath’evaṃ bhāvitaṃ cittaṃ māno na samativijjhati.


🪶 逐語訳

  • しっかり葺かれた屋根の家には、雨は漏れ入らない。
  • 同様に、よく修養された心には、慢心(高慢)は入り込めない。

📘 用語解説

用語解説
高慢(māna)自分が他より優れているという思い。仏教では「慢」として煩悩の一種に数えられる。
修養された心(bhāvitaṃ cittaṃ)自省・瞑想・戒律によって訓練され、穏やかで客観的な見方を持つ心。
屋根と雨の比喩防御の象徴。心の修養が整っていれば、煩悩(雨)は染み込まない。

🧾 全体の現代語訳(まとめ)

しっかりとした屋根がある家に雨が入らないように、
心がきちんと訓練され、磨かれていれば、
「自分が偉い」「他より優れている」といった高慢な思いは、
その心に染み込む余地がない。


🔍 解釈と現代的意義

この偈は、**「慢心(うぬぼれ)は訓練の欠如から生まれる」**という非常に重要な教えを示しています。

高慢とは、成長や成功の“副作用”として静かに現れます。
それは人を無自覚にさせ、他人を見下し、学びや対話を拒む原因になります。

しかし、日々の内省と修養によって心を整えていれば、
たとえ称賛を受けても、自分を見失わず、冷静でいられる。
謙虚さは偶然の性格ではなく、修養の結果なのです。


💼 ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
リーダーの謙虚さ成功した経験や肩書きが増えるほど、高慢になりやすいが、それに気づける心の修養が信頼を生む。
学び続ける姿勢自分はもう分かっている、知っているという思いが学習を止める。整った心は常に“学ぶ者”であり続けられる。
チーム内の対話力慢心があると、他者の意見を受け入れにくくなる。謙虚な心は、協働や創発の土壌をつくる。
自己評価と客観性高慢な心は自己評価を歪めるが、整った心は、自分を過大にも過小にも評価せず、現実を正しく見る。

💡 心得まとめ(結びのことば)

「高慢は心の隙から忍び込み、真理を見る目を曇らせる。」
「整った心には、他と比べる必要さえない。」

人は、成し遂げたときよりも、「自分が偉い」と思ったときに真に崩れていくのです。
その崩壊は、外からではなく、心の中の慢(まん)という雨水によって始まります。

だからこそ、心の屋根を整える――すなわち謙虚さを育む修養を続けること――が、
成功と学び、他者との信頼を長く保つ秘訣なのです。


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