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社長夫人の「執念」が救った会社

L工業の社長夫人は、洗練された美貌と穏やかな人柄を持つ女性だ。しかし、その内には、並外れた粘り強さと行動力が秘められていた。その力が、危機に瀕したL工業を救う原動力となった。


経営危機の発端

約2年前、L工業は主要な得意先が倒産したことで連鎖倒産の危機に陥った。社長は債権者の協力を取り付け、手形の買い戻しに成功したものの、それに伴い発行した新たな手形の決済期が迫る中で、資金繰りの見通しが立たなくなった。

社長は悩み抜いた末に、日に日に憔悴していった。そんな夫の姿を見た夫人は、彼に内緒で銀行から資金を調達することを決意した。これが、彼女の長く苦しい戦いの始まりだった。


銀行との格闘

夫人は、銀行の支店長に融資を懇願するために電話をかけ、直接会いに行った。しかし、返ってくるのは冷たい拒絶と、時には社長を貶めるような屈辱的な言葉だった。

「倒産寸前の会社に融資する銀行はない」という厳しい現実。それを承知しながらも、夫人は屈せず、日々銀行に足を運び続けた。支店の扉を開けるたびに味わう恐怖と屈辱、それでも彼女は「夫と会社を救いたい」という一心で粘り続けた。


執念の勝利

二カ月余りに及ぶ不屈の努力の末、ついに銀行側の態度が変わった。支店長から「銀行に来てほしい」との連絡を受けた夫人は、応接室でL工業への融資決定を告げられる。

その際、支店長はこう言ったという。
「奥さん、これは非常に異例のことです。このお金は、ご主人の会社に貸すのではありません。奥さんの執念に負けて、奥さん個人に貸すつもりで決めました」。

この言葉に、夫人はこれまでの苦労が報われた思いがしたという。彼女の「執念」が、会社を救う道を切り開いたのだ。


執念の力

L工業は、その後見事に経営危機を乗り越え、業績を回復させることができた。夫人はその成功に対して謙虚だったが、彼女の努力がなければ、L工業の存続はなかっただろう。

「執念を持って粘り抜けば、どんなことでも成し遂げられる」。その言葉に込められた真実は、夫人が身をもって示したものだった。彼女の姿は、経営者としての夫を支える家族の力、そして愛と信念の偉大さを物語っている。

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