経営者は、組織を導く中で多くの重要な決断を迫られます。その決断には時に厳しい現実が伴い、社員やその家族の生活に直接影響を与えることもあります。
そんな中で、社長自身がどのような姿勢で臨むのかを明確に示すことが、組織の未来を切り開く鍵となります。
本記事では、経営計画書を通じて社長の覚悟を示し、組織全体を成長へと導く方法について考察します。
社長の姿勢を形にする経営計画書
経営計画書は、社長の姿勢と決意を示すものです。この計画書には社員への具体的な指示を書くのではなく、社長自身が何を目指し、どのように会社を導くのかを記します。
たとえば、「社員に無理を強いる」ためのものではなく、「無理を承知で自ら頑張る」という社長の姿勢を示すためのものです。
経営計画書の中で、私がもっとも時間をかける部分が「経営計画発表にあたって」の一文です。このセクションでは、会社の方針とともに、社長としての決意を明確にします。
その締めくくりに「無理を承知で、皆さんに協力をお願いします」と記すことで、社員とともに挑戦する覚悟を示しています。
無理を承知で挑む理由
会社を維持し、社員の家庭や生活を支えるためには、現状維持では不十分です。社員が家族を持ち、生活が変化する中で、給料を上げ続ける必要があります。
しかし、売上が伸びない状態で給与だけを増やすのは現実的ではありません。このような厳しい状況にあっても、社長は「無理を承知で挑む」覚悟が求められます。
例えば、売上が3年間100のまま停滞している一方で、給料が毎年増加することは不可能です。しかし、それを実現するために必要な努力を惜しまず、社員のために道を切り開くのが社長の責任です。
赤字から学んだ教訓
私自身、1億円を超える赤字を3回経験しています。これらの失敗の原因は、「なんとかなるだろう」という甘い見通しにありました。
しかし、「なんとかしよう」と決意したとき、状況は好転しました。
この経験から学んだのは、会社の未来は「やり方」ではなく「決断」で決まるということです。
経営を立て直す方法
赤字部門を抱える会社を黒字化するには、まず損益分岐点まで人員を減らすなどの具体的な施策が必要です。
一部の従業員を解雇する決断は辛いものですが、全体の利益を守るためには避けられない場合もあります。
例えば、C部門が赤字であれば、その部門の従業員数を適正化することで、会社全体を黒字化できます。
これに対し「解雇はかわいそうだ」と考える社長もいますが、その結果として会社全体が倒産してしまえば、より多くの社員が困難に直面します。
社長の信任と責任
社員が家庭を築き、家を購入するのは、会社の安定性を信頼しているからです。この信頼に応えるためには、どんな困難があっても会社を存続させる責任があります。
「無理を承知で挑む」という姿勢は、社員だけでなくその家族の未来を守るための決意でもあります。
まとめ
経営とは簡単な道のりではありません。社長は責任を一身に背負い、時には厳しい決断を下さなければなりません。
しかし、その決断と覚悟が会社の未来を切り開き、社員の生活を支える力になります。経営計画書は、社長の決意と責任を示すための大切なツールです。
すべての経営者が「無理を承知で挑む」覚悟を持ち、社員とともに成長を目指すことを願っています。
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