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実践的な商品別販売計画の立て方と不足の克服

商品別販売計画の基本的なフォーマットは、巻末の「第7表」のような形式である。この計画において最も重要なのは、必要な加工高(粗利益)である。

売上高だけの計画では、商品ごとに加工高比率が異なるため、たとえ売上高が高くても加工高比率が低い場合には、必要な加工高を確保できないという状況が起こりうる。

売上高のみの計画では、このような問題をチェックすることができないため、加工高を重視する計画が不可欠である。

極論を言えば、加工高さえ確保できれば、売上高自体の数値は問題ではない、ということになる。そのため、まず最初に「第7表」の目標加工高の合計欄(①)に、利益計画で設定された目標加工高を記入する。

この手順によって、利益計画と商品別販売計画が明確に連結され、目標達成に向けた整合性のある計画が成立するのである。

次に行うのは、現事業の売上高と加工高の記入である。商品名については、すべてを列挙する必要はない。売上高のおおよそ80%を占める商品または商品群を記載すれば十分である。商品群とは、類似の特性と加工高比率を持つ商品を一括りにしたものである。残りの20%は「その他」としてまとめて扱えばよい。

まず、各商品または商品群の売上高を記入することから始める。この段階で、重要な商品や商品群に焦点を当てた計画が見えてくる。

この手順に従い、それぞれの商品または商品群について売上高と予測加工高比率を記入する。予測加工高比率は、基本的には実績に基づいて設定するため、大きな差異はないと考えられる。その後、売上高に予測加工高比率を掛けて加工高を計算する。

これらすべての加工高を合計したものが「第7表」の②に記入される数値となる。この数値は、現在の事業における加工高の基準を明らかにするものであり、次の計画策定の基盤となる。

このようにして、各商品または商品群について売上高と予測加工高比率(実績値に近いもの)を記入し、その結果として加工高を計算する。これをすべての商品または商品群について行い、その加工高を合計したものが「第7表」の②に記載される数値となる。この②の合計は、現事業の加工高の総額を示し、次の計画作成の基準となる重要な指標となる。

同様の方法で、新事業についても記入する。ただし、新事業の場合、まだ販売実績がないため、売上高がどの程度になるのか、明確に予測できる場合もあれば、不明な場合もある。いずれにせよ、実際に販売してみなければ結果は分からないため、過度な期待を抱くべきではない。新事業の売上を過大に見積もることは避けるべきだ。

しかし同時に、あまりに控えめな目標を設定すると、その新事業に対する販売努力が不十分になるリスクもある。このように、新事業の計画は、現実的でありながらも意欲的な目標を設定するというバランスが求められる。これは慎重でありながら挑戦的な姿勢が必要となる、厄介な部分である。

社長の最大の苦心は、新事業の売上高と加工高をどのように設定するか、という点にあると言える。そして、この新事業の売上高と加工高の合計を「第7表」の③に記入する。

その後、②(現事業の加工高)と③(新事業の加工高)を合計してみると、目標加工高である①に届かない、というケースが最も一般的である。この不足分をどう埋めるのか、ここが販売計画の中で最も重要かつ難しい部分である。

利益計画だけでは見えてこない売上達成の難しさを、ここで社長は痛感させられる。この不足分をどう埋めるのかを考えざるを得なくなるのだ。この不足を埋められなければ、利益を出すどころか、最悪の場合は赤字に転落する可能性すらある。

まさに、「この不足をどうして埋めるか」を具体的に考え、行動に落とし込むことこそが、本当の意味での販売計画である。そして、この販売計画が実現されて初めて、利益計画が現実のものとして成り立つのである。

不足を補うためには、まず個々の商品や商品群ごとに計画の数字を見直す必要がある。それぞれの商品について、さらに売上を増加させる方法がないかを検討し、可能性を探る。また、加工高比率(粗利益率)を向上させる手段がないかを慎重に分析することも重要である。

例えば、高付加価値商品への注力や販売戦略の見直し、価格改定、コスト削減など、加工高比率を高めるための具体的な施策を検討する。これらの取り組みによって、単に売上高を増やすだけでなく、利益率を改善し、不足を補う道を模索することが求められる。

このような状況で突破口となるのは、社長が直接得意先を回り、自らの手で収集した現場の情報である。この情報がなければ、いくら考えたとしても、具体的な手立てを見つけることは難しい。つまり、社長が市場と顧客の状況を、自らの目で見て、耳で聞き、肌で感じていなければ、本当に実効性のある販売計画を作り上げることは不可能であるということを示している。

市場と顧客を深く理解することで初めて、現実に即した計画が立てられ、必要な不足を補う具体的な施策が明確になるのだ。社長自身が現場に足を運ぶことの重要性は、ここにある。

社長の徹底した検討を通じて、目標数字が徐々に上積みされていく。しかし、その上積みされた数字には、必ず「これこれの販売促進策を実施する」という具体的な裏付けが必要である。この裏付けがなければ、上積みされた数字は単なる「数字合わせ」に過ぎず、実現可能性を欠いた計画となってしまう。

販売促進策の裏付けとは、例えば新規顧客の開拓、既存顧客への販売強化、キャンペーンの実施、商品構成の見直しなど、実行可能なアクションプランを伴った具体的な施策でなければならない。これが、計画の実効性を高める鍵となる。

「目標数字には、それを達成するための具体的な方策が伴わなければならない」というのは当然のことである。しかし、その方策が上積みされた数字と数学的に一致するという保証はない。それどころか、実際には目標数字に到達するのが非常に困難な場合が多い。

これが現実の経営における厳しさであり、計画の精度を上げる努力をしながらも、目標に届かない可能性を念頭に置いておく必要がある。そのため、柔軟な対応策や複数のシナリオを用意し、目標達成に向けて継続的に改善と調整を行う姿勢が求められる。

このような状況に陥った場合、どうするべきかは確かに難しい問題だ。実際には、目標数字がどうしても合わないとき、最終的に「苦しまぎれの数字」や「帳尻合わせの数字」で一時的に形を整えるしかない場合もある。そして、目標達成の具体策は「これから考える」という後追いの対応になってしまうことが少なくない。

どうしても目標数字に近づけるには、「最重点商品はあと一割上積み」「伸び率が高い商品は三割増加」「粗利益率を二%高める」といった形で見直していく。それでもなお、どうにもならない場合もある。その時は、新たな市場開拓やコスト削減、目標の再設定など柔軟に対応する必要がある。

そのような場合には、「あとこれだけ必要だ」という意味で、商品名を「X」として調整を行うことになる(第7表の④)。そして、それについては計画期間中に具体策を考える、とするしか方法がない。

この辺りの苦しみは、実際に経験した人でなければ理解できないだろう。しかし、こうして粗利益の目標を達成する計画を立てると、売上高が利益計画と食い違うことが生じる場合がある。

その場合は、利益計画の売上高を販売計画に合わせて修正することになる。このような苦労を重ねた結果、ようやく商品別販売計画が完成するのである。

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