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■引用原文(日本語訳)
「ヨーガによって不動となった堅固さにより、人が意と気息と感官の活動を固持(抑制)する時、それは純質的な堅固さである。」
(バガヴァッド・ギーター 第18章 第33節)
■逐語訳
ヨーガ(精神統一・修行)によって得られた**揺るがぬ意志(堅固さ)**をもって、
人が
- 意(心の働き)、
- プラーナ(気息、生命エネルギー)、
- 感官の活動(五感・行為器官)
を節度ある形で抑制・制御し、安定させるとき――
それが**純質(サットヴァ)に基づいた堅固さ(意志の強さ)**であるとされる。
■用語解説
- 堅固さ(ドリティ):物事を継続し、貫き通す意志力、忍耐力。
- ヨーガ:心を一点に集中し、魂と結びつける精神的実践。
- 意(マナス):感情・思考などの揺れ動く心。
- 気息(プラーナ):呼吸や生命エネルギーの動き。心身のバランスと密接に関係する。
- 感官(インドリヤ):視覚・聴覚など五感および行動の器官。外界に引きずられやすい。
■全体の現代語訳(まとめ)
心をヨーガによって統一し、
精神的な意志の力によって、
感情や欲望に揺れ動く心、
興奮や沈滞をもたらす呼吸、
外界へと引っ張られる感覚――
これらを穏やかにコントロールできるとき、
それは最も清らかな「サットヴァ的な堅固さ」とされる。
■解釈と現代的意義
この節は、「心・身体・感覚を制する意志」の在り方を説いています。
努力とは、外に向けた行動だけでなく、内に向けた統制と節制こそが本質的。
それを支えるのが、ヨーガ的実践(=集中・内省・一貫性)によって得られる、揺るがぬ意志です。
現代でも「感情に振り回されない」「習慣を整える」「衝動を抑える」ことは、すべてこの堅固さに支えられています。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 実務での例 |
---|---|
自己制御力 | 焦りや怒りに任せず冷静に対処する。衝動的判断を抑え、長期的視野で行動する。 |
集中力の維持 | SNSや雑音、周囲のプレッシャーに負けず、目の前の仕事に集中し続ける姿勢。 |
生活習慣の整備 | 睡眠・食事・呼吸・姿勢の管理は、意志力の根幹となる。健康もまたプロフェッショナリズム。 |
感覚の節度 | 快楽や刺激に流されず、「やるべきこと」と「やりたいこと」の境界を守る力。 |
■心得まとめ
「心・呼吸・感覚を制する者が、真にブレない意志を持つ」
真の堅固さとは、がむしゃらな我慢ではなく、内的バランスの安定に基づいた静かな力。
『ギーター』は、行動の前にまず「自分の中を整えること」の大切さを教えている。
この安定が、周囲の混乱の中でも泰然と働く強さを支えるのである。
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