目次
■原文
私はまた地における芳香であり、火における光輝である。
万物における生命であり、苦行者における熱力である。
(第7章・第9節)
■書き下し文
我また、地における芳香なり、火における光輝なり。
万物における生命なり、苦行者における熱力なり。
■現代語訳(逐語/一文ずつ)
- 私はまた地における芳香である。
→ 私は、大地が発する自然の香りそのものである。 - 火における光輝である。
→ 私は、火が放つ明るさと力である。 - 万物における生命である。
→ 生きとし生けるものすべてに働く生命力が私である。 - 苦行者における熱力である。
→ 修行者の努力と精神の熱情、それもまた私の一部である。
■用語解説
- 芳香(gandha):大地の本質のひとつとしてサーンキヤ哲学で語られる属性。
- 光輝(tejas):前節に続いて、火の本質的な力。行動力・直感・智慧とも結びつく。
- 生命(jīvanam):生きる力そのもの。心拍、呼吸、成長などの原動力。
- 熱力(tapas):苦行を通じて内的な力を蓄える行為、自己鍛錬と浄化の象徴。
■全体の現代語訳(まとめ)
私は、大地に広がる香りであり、火に宿る光である。私はすべての存在に通う生命であり、修行者の内に燃える熱のような力でもある。
■解釈と現代的意義
ここでは自然現象(地・火)だけでなく、生命活動や修行者の内的努力といった「見えない力」にも神が宿ることが示されている。神性は形あるものにも、無形の力にも等しく宿っており、精神的・倫理的行動にも神の現れがあるという示唆を含む。
■ビジネスにおける解釈と適用
- 地に足つけた価値創造
→ 大地の芳香は、地道な努力や継続の象徴。華やかでなくとも、根底にある価値を見つめる視点が必要。 - 炎のような集中と照射力
→ 火の光のように、鋭い直観・集中力・洞察力をもって業務や判断に臨むこと。 - 組織における「生命力」
→ 組織やチームに活力があるか? 各メンバーの「息吹」を生かすマネジメントが鍵となる。 - 情熱と継続の文化を育む
→ Tapas(熱力)は、持続的な努力と内的成長の象徴。外的成果ではなく、内面の成熟を重視する文化を築くこと。
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