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政策転換を決断する

政策転換を決断する

S社の社長は、能率向上を経営の鍵と信じてきたこれまでの方針が間違いであったことを認識し、直ちに新たな覚悟で政策を転換する決断を下しました。この英断が、会社を救う大きな転機となったのです。


方針転換がもたらした変化

S社は、親会社への依存から脱却し、新たな営業活動を開始しました。この取り組みの中で、社長以下全員が、世の中には驚くほど多くの仕事が待っていることを実感しました。同時に、これまでの依存が自社の可能性を縛り付けていたことを痛感しました。


新たな営業戦略の成果

新規受注品の売上は着実に増加し、採算性の低い製品に対する値上げ交渉でも意外な成功を収めました。一部製品では値上げが認められたことで、親会社からの値下げ要求の圧力も弱まり、会社の財務状況が大きく改善される結果となりました。


生産体制の効率化と間接部門の削減

間接部門の削減も大幅に進められ、3年計画で直間比率を70対30から85対15にまで改善する取り組みが開始されました。同時に、オートバイ部品のモデルチェンジに伴い、採算性の低い製品を切り捨て、新規受注品の生産にリソースを集中させることで、効率的な生産体制を構築しました。


驚異的な業績改善

昭和42年2月には、売上に占める新規受注品の割合が12%に達し、月次損益で黒字を達成しました。さらに、政策転換による業績回復が金融機関に評価され、新たな融資を得ることができた結果、資金繰りの問題も解消の兆しを見せました。


画期的な利益と成長への道筋

昭和42年度の初頭には、素晴らしい収益成長が見込める新たな製品の受注に成功。この製品はオートバイ部品の4倍もの付加価値生産性を持ち、会社の業績をさらに押し上げました。また、新たな受注品に対する値下げ提案を数量増加で補う戦略を実行し、利益を拡大しました。


業績改善と取引先との関係強化

8月時点での利益により、前年度の赤字を解消。資金繰りが改善したことで、支払手形の期間短縮にも着手し、下請け業者との信頼関係も強化されました。最終的に、昭和42年度の利益は会社創立以来の最高記録を達成し、売上利益率が10%を超える見通しとなりました。


幸運をつかむための条件

S社が経験したこの好運は、政策転換を行ったからこそ掴み取れたものでした。運不運は偶然ではなく、考え方や努力によって大きく左右されるものです。新規受注した製品の生産体制が従来製品よりも非能率であったにもかかわらず、収益性が高いことが業績向上に寄与しました。この事実が、単純な能率向上だけではなく、収益重視の視点が重要であることを示しています。

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