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P/Lは見解・B/Sは現実である―経営財務の核心に迫る

経営において、数字は重要な指標となりますが、その中でも特にP/L(損益計算書)とB/S(貸借対照表)の役割は明確に異なります。多くの経営者が売上や利益といったP/Lに注目する一方で、現金の流れや財務の現実を示すB/Sの重要性を軽視することが、経営の危機を招くことがあります。本記事では、P/LとB/Sの違いや、それぞれの役割を正しく理解し、現金管理を徹底するための具体的なアプローチを解説します。

目次

会社経営の本質:現金の重要性

「会社経営は、現金にはじまり、現金に終わる」と言われるほど、現金の管理は経営の根幹をなします。多くの経営者が売上高や営業利益、経常利益といったP/L(損益計算書)の数字に注目しがちですが、B/S(貸借対照表)の重要性を軽視してしまうケースが少なくありません。

例えば、売上が増えていても経営が苦しいと感じた経験はありませんか?私自身も創業初期に同じ悩みを抱えたことがあります。利益が出ているように見えても、現金が不足していると社員の給料や支払い、借入金の返済ができず、経営が行き詰まるのです。

P/Lの数字は「見解」にすぎない

P/Lは、企業の収益状況を示すものですが、あくまで「見解」であり、「現実」ではありません。例えば、50円で仕入れた商品を100円で販売すれば50円の利益が出ますが、その50円が売掛金のままで現金化されていなければ、実際には資金不足が発生します。このように、P/Lの数字だけを頼りにしていると、経営の危機を見落とす可能性があります。

B/Sの数字が示す「現実」

一方で、B/Sは現金を含む資産や負債、純資産の状況を把握するためのものです。特に現金の流れを正しく管理することが、企業の持続可能性を左右します。2008年のリーマンショック時、黒字倒産した上場企業の約3分の2が現金不足を原因としていました。どれだけ利益が出ていても、資金繰りができなければ企業は存続できないのです。

現金不足への対応

現金が不足する理由は、P/Lでは現金の動きを直接示す項目がないためです。現金の状況を正確に把握するためには、B/Sを参照する必要があります。例えば、ある事業部の粗利益率が低下し、投資資金の回収が遅れると、売掛金が増え現金化が遅延します。このような状況では、資金繰りが圧迫されるため、事業からの撤退を検討することも重要です。

また、ある小売チェーンの社長は、ショッピングセンターに預けていた保証金の一部返却を交渉し、キャッシュフロー改善を図りました。このような施策は、B/Sをしっかりと見るようになってから思いついたものです。

P/LとB/Sの役割の違い

P/Lは、「1年間の業績を示すもの」であり、企業がどれだけの売上を上げ、いくらの経費を使い、最終的にどれだけの利益を出したかを示します。一方、B/Sは「会社の財産状況を把握するもの」で、資産や負債、純資産がどのように構成されているかを示します。

経営者と社員が協力して作り上げた売上や利益はP/Lに反映されますが、給料の支払いを含む現金の管理はB/Sに依存します。売掛金や買掛金、現金化のタイミングを正確に把握することで、黒字倒産を回避することが可能です。

B/Sの意味を理解し、現金(あるいは現金化しやすい資産)を増やしていけば黒字倒産は防げます。

P/L

1年間の業績をまとめて、「いくら儲かったか」「いくら損したか」を知るための決算書。いくら売上があっていくら経費をつかって、最終的にいくら利益(損失)が出たのかをまとめている。

B/S

決算日現在の「会社の財産状況」をまとめた表。資本金や利益剰余金がいくらあって、いくらお金を借りていて、どのように運用されているかを示している。

B/Sを理解し、現金管理を徹底する

企業の持続的な成長を実現するためには、B/Sの重要性を理解し、現金や現金化しやすい資産を増やす取り組みが不可欠です。どんなにP/Lが良好でも、現金の流れが滞ると経営は危機に瀕します。

経営は単なる数字の遊びではなく、具体的な行動の積み重ねです。1000万円の利益を上げるには、何をどれだけ積み重ねればいいのかを考え抜くことが求められます。現実の数字に基づく経営こそが、企業の未来を切り開く鍵となるのです。

まとめ

経営の健全性を保つためには、P/LだけでなくB/Sも十分に理解し活用することが必要不可欠です。P/Lは業績を示す「見解」であり、B/Sは資産や現金の流れを示す「現実」です。

この両者をバランスよく管理することで、黒字倒産を回避し、企業の持続的成長を実現できます。最終的には、経営者自身が現実の数字をしっかりと把握し、明確な行動に落とし込むことが成功の鍵となります。

P/Lは見解、B/Sは現実

会社経営は、現金にはじまり、現金に終わる

多くの社長は「売上を伸ばせば会社は成長する」と思っています。だから売上高や営業利益、経常利益といったP/L(損益計算書)の数字ばかり気にかけます。決算書を見るときも、P/Lは詳細に見ても、B/S(貸借対照表)の数字はいい加減に見ている。計画を立てる時もP/Lしか見ない。

でも売上が増えているのに経営が苦しいという経験、したことありませんか。実は私自身、会社を作ったばかりのときに、そういう経験をしたことがあります。「利益」が出たからといって、お金(現金)があるとは限らないからです。

P/Lの数字は「見解」に過ぎません。「50円」で仕入れたものを「100円」で売れば「50円」儲かります。でもその50円が売掛金になっていれば、現金はない。現金がなければ社員に給料を払えなし、支払いもできない、銀行借入の返済も出来ない。だから「利益」は「見解」に過ぎません。

一方、B/Sの数字は「現実」です。「現実」とは「現金」のこと。会社経営は、現金にはじまり、現金に終わる。人は血液が回らないと死んでしまいますが、会社も現金が回らなくなると倒産します。P/Lでは黒字になっていても、資金繰りができなれば会社は窮地に立たされます。2008年のリーマンショックのときに倒産した上場企業のうち、実に3分の2は、「黒字倒産」でした。儲かっているのになぜ倒産するのか。答えは簡単。現金が足りないからです。

なぜ現金がたりないことにもっと早く気がつかないのか。実はP/L上には現金に関する勘定項目がひとつもない。手元の現金がいくらあるのかを知るにはB/Sをみなければなりません。

撤退したあかり事業部。撤退した理由のひとつは、粗利益率の低下。それまで35%あった粗利益率が25%になり、投資資金の回収が遅くなりました。回収サイトが長かったことも資金繰りを圧迫しました。売掛金が増えると現金化に時間がかかる。

ある小売チェーンの社長は、キャッシュフローをよくするために、テナントとして出店するショッピングセンターに対し、「保証金」を返してもらおう。今の時勢なら半分くらい返ってくるのではと考えています。

店舗商売は立地が大切で、家賃が安いからという理由だけで出店先を選ぶことはありません。むしろ、家賃はある程度、高くてもいい。ただし、デベロッパーや大家さんに売上の変化を見せて、少し強力してもらえませんか?と交渉してもいいでしょう。この社長はそう言いいます。このような対策を思いついたのは、B/Sを見るようになってからです。

決算書は数字の遊びではない

できるだけ安くという言い方は曖昧でわかりにくい。根性論だけでは社員も働いてくれない。でも今は30万円安くしてもこの仕事を取れと具体的に指示できるようになった。社員も働きやすくなったのではないでしょうか。

1000万円儲けるためには、どのような行動を積み重ねていけばいいかを考える経営でなければ利益を出し続け得ることはできません。たまたま結果として1000万円儲かったというようなことでは利益を出し続けることはできない。

P/Lの世界とB/Sの世界

日常の損益の計算と、現実的なお金のやりくりを一緒に考えてはいけません。社長と社員が協力して力を合わせた結果の数字である売上や利益などを正しく計算するのはP/Lです。けれども、お金をどのように調達し、どのように使ったかというお金の動きを示しているのは、B/Sです。

社員が仕事をするのは、P/Lの世界で、25日に給料を支払うのは、B/Sの世界です。

P/Lは社員が関わっていてB/Sは銀行が関わっている。そう考えるとわかりやすいかもしれません。

売上があって売掛金になるのか現金か、仕入をしたら、現金で買ったのか、買掛金なのか、人とモノがどのように動き、それにともなって「お金がどのように動いたのか」を把握していければ、たとえ赤字であっても、倒産を免れることができます。

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