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善によってつぐなえば、人は再び輝ける


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■引用原文(『ダンマパダ』第十三章 第173偈)

以前には悪い行ないをした人でも、のちに善によってつぐなうならば、その人はこの世の中を照らす。雲を離れた月のように。
― 『ダンマパダ』第173偈(中村元訳)


■逐語訳(逐文的な意味の解釈)

  • 以前には悪い行ないをした人でも:過去に罪や非道な行為を重ねた者であっても、
  • のちに善によってつぐなうならば:後に善行を積み重ねてそれを償うならば、
  • その人はこの世の中を照らす:その生き方は、他者や社会に光と導きをもたらす存在となる。
  • 雲を離れた月のように:過去の罪という雲を抜け出し、再び清らかに光り輝く月のように。

■用語解説

  • 悪い行ない(アクシラ):倫理に反する言動。貪欲・瞋恚・無智に基づいた行動。
  • 善(クシラ)によってつぐなう:誠実な悔い改めと善行(慈悲・正見・誠実など)によって、過去の過ちを償うこと。
  • この世を照らす:模範的な存在として周囲に善い影響を与えること。
  • 雲を離れた月:暗さに覆われていたが、再び清明な光を取り戻した存在の象徴。

■全体の現代語訳(まとめ)

「かつて悪事を行った人であっても、後に善行によってそれを償えば、その人は社会に光をもたらす存在となる。まるで雲の陰から現れた月が、夜空を明るく照らすように。」
――この偈は、人の「過去」ではなく「変化と現在」を評価する仏教の深い慈悲と希望の教えである。


■解釈と現代的意義

この偈は、過去の過ちがどれほど重くとも、それにとらわれることなく、善をもってそれを超えることができると語っています。
社会では「一度の過ち」で全否定されるような風潮もありますが、仏教は「変わる力」こそ人間の尊さと説きます。

私たち一人ひとりもまた、「後悔」に生きるのではなく、「いま・これから」によって、自らを照らし直すことができるのです。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
過ちからの再起過去の判断ミスや倫理的失敗があっても、誠実な姿勢と行動で信頼は取り戻せる。
人材の再評価失敗歴のある人を「過去」ではなく「現在の努力と姿勢」で見直す視点が、組織に再生の文化をもたらす。
組織改革不祥事や業績不振の過去があっても、透明性と善意を基盤とした行動が、企業イメージを一新する。
リーダーの在り方自らの過ちを認め、善によって償い、それを通じて周囲を照らすリーダー像は、最も信頼される存在となる。

■心得まとめ

「過去が暗くても、善を積めば、また光となれる」

この偈は、人間の「変われる力」「善によって再び輝ける力」を高らかに称えています。
誰しも過ちはある。だが、そのまま沈んで終わるのではなく、善の道を歩めば、過去さえも光へと変わる。
あなた自身の中にある「月」を、もう一度輝かせるのは、いまの善き行動なのです。


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