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■原文(第11章 第30節)
あなたは全世界を遍く吞み込みつつ、燃え上る口で舐めつくす。
あなたの恐ろしい光は、その輝きで全世界を満たして熱する。ヴィシュヌよ。
■逐語訳(一文ずつ訳す)
- あなたはこの全世界を呑み込みながら、燃え上がる口でそれを舐め尽くしている。
(lelihyase grasamānaḥ samantāl lokān samagrān vadanair jvaladbhih) - あなたの恐ろしい光は、全世界をその光で満たして焼き尽くしている。
(tejobhir āpūrya jagat samagram bhāsas tavogrāḥ pratapanti viṣṇo)
■用語解説
用語 | 解説 |
---|---|
呑み込む(grasamānaḥ) | 消滅させる・完全に取り込むこと。破壊の象徴。 |
舐め尽くす(lelihyase) | 炎があらゆるものを舐めるように広がる様。貪欲な破壊の表現。 |
燃え上がる口(jvaladbhih vadanair) | 神の破壊相であるヴィシュヌ(=カーラ/死)を象徴する描写。 |
恐ろしい光(ugrāḥ bhāsas) | 畏怖すべき輝き。超越的な力そのものの顕現。 |
全世界(samagraṁ jagat) | すべての存在。人類、神々、自然、宇宙を含む。 |
■全体の現代語訳(まとめ)
あなたは、燃え上がる口でこの世界を貪り尽くし、
激しい光をもって全世界を焼き尽くしている。
その恐ろしい輝きは、宇宙の隅々にまで広がり、
存在するものすべてを圧倒している。――ヴィシュヌよ。
■解釈と現代的意義
この節は、宇宙を支配する「時=死=ヴィシュヌ」の破壊的側面を描きます。
全てを呑み込み、焼き尽くすという描写は、「終末」「刷新」「淘汰」の象徴です。
ここでは「善悪」「大小」「強弱」すら意味を持たない、
絶対的で平等な終焉が描かれており、
それに対し人間は、ただ「圧倒される存在」でしかないことが示唆されます。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
マクロ環境の激変 | テクノロジー、法規制、地政学的変化によって業界全体が一気に変わる現象(例:AI、パンデミック)。 |
無慈悲な淘汰 | 時代の要請に応えられなかった企業が、容赦なく消え去る構造変化。 |
絶対的変化の波 | 「何をしても避けられない変化」に直面したとき、人はまずその現実を受け入れねばならない。 |
■心得まとめ
「変化の火はすべてを呑む――その前に備えよ」
大いなる変化は、
燃え上がる炎のごとく、すべてを呑み込み、焼き尽くす。
それは選ばず、待たず、止まらない。
ゆえに我々にできることは、
その火の訪れを知り、備え、変化に耐える力を養うこと。
「消える者」と「生き残る者」の差は、
火に焼かれる前に、「火の正体」を見抜いた者かどうかにある。
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