目次
📜引用原文(日本語訳)
二四*
修行僧は、身も静か、語も静かで、心をよく安定統一し、
世俗の享楽物を吐きすてたならば、〈やすらぎに帰した人〉と呼ばれる。
― 『ダンマパダ』 第二章 第二四偈
🔍逐語訳(文ごとの意訳)
- 修行僧は、身も静か、語も静かで:行動に落ち着きがあり、言葉遣いにも慎みと穏やかさがある。
- 心をよく安定統一し:思考が定まっており、雑念に振り回されず、深い集中が保たれている。
- 世俗の享楽物を吐きすてたならば:感覚的快楽や物欲など、執着の対象を自ら手放しているならば、
- 〈やすらぎに帰した人〉と呼ばれる:その人はすでに苦しみを超え、真の安らぎ=涅槃の境地にある者として尊ばれる。
📚用語解説
用語 | 解説 |
---|---|
身の静けさ | 行動に慎みがあり、衝動的な動き・乱れがないこと。 |
語の静けさ | 無用なことばを避け、他を傷つけず、誠実な発言を行う態度。 |
心の安定統一(サマーディ) | 欲・怒り・妄想から離れ、集中した状態。瞑想において極めて重要な要素。 |
享楽物を吐きすてる | 快楽的欲望(食・財・名誉・感官の喜びなど)への執着を断つこと。 |
🪞全体の現代語訳(まとめ)
外見だけでなく、行動も言葉も穏やかで、
心を落ち着かせ、感情や欲望に左右されることなく、
この世の一時的な快楽を手放した修行者は、
苦しみを離れ、真にやすらぎに至った人として、尊敬される存在である。
🧠解釈と現代的意義
この偈は、「外面だけでなく、内面も含めた全体の沈静化こそが、真の安らぎをもたらす」ということを教えています。
とりわけ、現代社会で多くの人が求める“心の平穏”や“ブレない軸”は、欲望や刺激からの離脱によって得られると示唆しています。
それは、「何も持たないこと」ではなく、「持つことに執着しないこと」。
外の世界がいくら騒がしくとも、内なる沈黙を保つ人間こそが、真に自由で強い存在なのです。
💼ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 実践への応用例 |
---|---|
感情と衝動の制御 | 冷静に行動し、場の空気に流されずに判断できるリーダーは、組織に安定感をもたらす。 |
言葉の慎みと信頼形成 | 口数が多くても真意が伝わらない現代だからこそ、静かで誠実な言葉に人は信を寄せる。 |
“手放す力”が集中力を生む | 成果・称賛・物欲を追いすぎず、目の前の行動に専念できる人は、真の集中と満足を得やすい。 |
セルフマネジメントの核心 | 内面の騒がしさを静める技術(瞑想・呼吸・内省など)は、あらゆるビジネススキルの土台となる。 |
✅心得まとめ
「沈黙の中にこそ、本当のやすらぎは宿る」
行動を静め、言葉を慎み、心を整え、欲を離れた者は、
もう何ものにも振り回されない――
その人は、すでに“内なる勝者”として、やすらぎに帰しているのだ。
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